紫煙の記憶
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「え?お前も吸うの?」
「えぇ、たまに昔の仲間を懐かしんでね。」
あぁなるほど。それで突然、煙草なんて……。
第二次世界大戦中、当時イギリス海軍の誇りであり最大・最強を誇った戦艦があった。その名は『フッド』。それをプリンツ・オイゲンと共に沈めたのが当時ドイツ海軍の最新鋭戦艦だったビスマルクだった。当然の如くイギリス海軍は激怒。ビスマルク一隻を沈めるために戦艦8隻を基幹とした大艦隊を差し向け、追撃戦を展開した。その最中、遠目で英海軍の戦艦に偽装しようとハリボテの煙突を作り、その煙突を本物らしく見せる為に艦長が乗組員に煙草を吸わせたらしい。結局そのハリボテの煙突は使われる事は無かったらしいが、艦長の機知に富んだアイディアによって乗組員の士気は高まったという。戦艦ビスマルク・その壮絶な最期を遂げる2日前の事だったというーーー……。
「ホレ。」
ビスマルクに一本差し出し、くわえさせてライターで火を点けてやった。その紫煙を燻らせた目の端に、光る物が見えたのは気のせいではなかったハズだ。
「泣いてんのか?お前。」
「う……うるさいわねっ!煙が目に滲みただけよ……。」
強がっちゃって、可愛いなぁ全く。そういえば、ビス子が美味いと食っていた大根のきんぴら、皮のきんぴらだったんだが黙っとくか。
ハイ、再び二人でアニメの鑑賞中ですよ〜っ、と。
『ハイスクールのランチ、2回奢ったぞぉ!』
『俺は13回奢らされた!』
『いちいち数えてんじゃ……ねぇよっ!』
「ねぇ提督、この二人って仲悪いの?」
「いんや、すんげぇ仲の良い幼なじみだぞ。」
「なのにこんな殺し合いしてるの?男の友情って理解に苦しむわ……。」
まぁ、この感覚は男同士の方が理解しやすいだろうな。とその時、執務室のドアがコンコン、とノックされる。
『提督?大和です。オヤツをお持ちしました。』
時間を見るとグッドタイミング、午後3時だった。
「おー!入ってこい、一緒に食おうや!」
「失礼します、今日は駆逐艦の皆さんと作った手作りのバニラアイスですよ。」
大和は有名な料理上手だ。特にアイスは間宮の物に勝るとも劣らない逸品だ。ハロウィーンのイベントの時も駆逐艦達に配っていたっけな。
「良いねぇ、けど今日は少しアレンジを加えるか。」
大和は座って待ってな、と炬燵に入らせる。俺はキッチンに立つと、鍋を火にかけて、シェリー酒やブランデー、フルーツのリキュール等を暖める。沸騰はさせない。70〜80℃位の温度で留めておく。そしてドライフルーツやナッツ類を小皿に盛り付け、二人の前に持っていく。
「さぁ、アイスに好きなトッピングをして、好きな酒をかけてやれば『提督流アフォガー
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