秋祭り〜The after story〜
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に呼び出したのだ。罪状は『無断での出撃及び戦闘用艤装の無断持ち出しと使用』。私的な理由から艤装を持ち出し、戦闘行為を行ったという罪状だ。艦娘は軍属の人型兵器、その艤装を無断で私的に使う事は軍艦を私用に使うのと同義。どうにか監査のついでに取り調べに来た染嶋達は上手い事とりなしたが、下手を打つと二人共解体処分になってしまっていた。
「なぁ武蔵よぉ、俺も俺なりに調べあげてんだ。あの時何でお前が勝手に出撃してたのか。」
あの時とは、美保から来たというあの一団を見送ったあの朝だ。あの時、既に武蔵と島風は鎮守府を抜け出して二式大艇の飛行ルートへと先回りして待機していた。そうでなければ武蔵の速力であの一行が戦闘を繰り広げた海域には間に合わない計算だ。つまり、武蔵はあの時敵艦隊の襲来を予見し、待ち伏せしていたのだ。
「あの時お前は二式大艇が襲われると考えて飛行ルートを予測。それを護る為に待ち伏せして敵艦隊を攻撃した。違うか?」
「ふっ!……くっくっくっ、あっはっはっはっは?」
突然武蔵が大爆笑。何だよ、コッチは真面目な話をしてるんだぞ?
「いや、いやいやいや。存外提督も頭が堅いのだと思ってな。」
くっくっ、とまだ笑いが収まらない武蔵は、否定の意を示すように右手を左右に振ってみせる。
「私が無断で出掛けた理由だと?それはな提督、あの提督を私は気に入ってたんだ。一目惚れ、といっても良いかも知れんな。」
「……は?」
あまりの答えに言葉を失った。武蔵があの美保の提督に一目惚れだと?
「それでな。照れ臭いのと仕事上で、彼には強く当たってしまった。だから一人で静かに見送りたくてな。こっそりと抜け出そうとしたら島風に見つかってしまったのだ。なぁ島風、そうだったよな?」
「おっ、おぅ?……そ、そうだよ提督っ、武蔵さんにアタシは勝手に付いてったの!」
いや、絶対嘘だよなコレ。でもまぁいいや、結果的に美保の一行は助かったみたいだし。コイツらが反省しとるかは解らんが、まぁ営倉にいる間は大人しくしとったから、それでチャラって事にしといてやろう。
「はぁ。まぁ、そういう事にしといてやろう。今日は謹慎明けだからな、お前らがまだ味わえてないだろう秋の味覚を喰わせてやるよ。」
はぁ、俺もまだまだ甘いねぇ。
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