暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
おにぎりと汁物とスク水と。
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ちたら昆布を水に浸ける。水出しの方が上品な味が出るが、最低3時間は必要となるからな。今回はパスだ。昆布に切り込みを入れて出汁を取るやり方もあるが、あれはそれぞれメリット・デメリットがある。今回は切れ込みを入れてから水に浸けた。昆布を入れた鍋を火にかける。火加減は強火で温めていく。水が沸騰してきたら火加減を弱火にし、しばらくそのままにして昆布の旨味をしっかりと出す。しかし、この時アクと昆布の強い香りも出てしまう為にしっかりとアク取りをする。

 一度味見をして昆布の旨味が出ている事を確認したら、昆布を取り出してそのまま弱火にかける。こまめにアクを取り除いていくと澄んだ色の出汁になる。こうなると昆布のくどい香りや雑味もなくなり、円やかな味になる。こうなったら一旦火を止めて出汁の温度を下げる。煎茶同様、鰹節は熱湯で出汁を取ると美味しく無くなる。その為、差し水するか火を止めて温度を下げてから鰹節を加える。勿体ぶらずに一気にバサッと入れる。火を止めて温度を下げた場合には、ここで再び火を点ける。こまめにアクを取り続け、沸騰してきたらそのまま20〜30秒、鰹出汁を煮出してやる。煮出し終わったら直ぐに火を止め、キッチンペーパーを使って出汁を濾してやる。一気にドバドバと注がずに、ゆっくりと濾してやると、澄んだ綺麗な出汁が取れる。これだけの手間暇をかけてやれば、円やかで自然な甘味さえ感じられる後味の良い出汁が出来上がりだ。

「ん、どうした大鯨。」

「いや、鰹節と昆布が勿体無いなぁと思って……」

 勿論、出し殻の昆布と鰹節は無駄にしない。定番な所だと佃煮とか、色々と利用できる。俺が後で調理しておこう。


 さて、海産物の出汁が取れたら、今度は山の幸。干し椎茸の出汁を取ろうか。といっても干し椎茸は大して難しくない。雑味の原因となる汚れを落とし、軽く日光に当てる。そうすると乾物独特のひなた臭さが取れるし、栄養成分のビタミンDが増える。そしたら干し椎茸は絶対に水出しの方が良い。お湯で戻すと苦味が出てしまう。時間としては3〜4時間。今回は時間が無いから、俺が予め準備しておいた物を使う。出汁の分量としては水1リットルに対して干し椎茸30g。
戻した椎茸はけんちん汁の具材として使う。



 さぁ、一気に仕上げよう。鍋にごま油を敷き、まずは鶏モモ肉。焼き目が付いたら大根・ニンジン・下茹でした里芋・コンニャク・キノコ類・ゴボウの順に加えて炒めていく。水気を絞った豆腐を崩しながら加えて全体に混ざりあったら、先程取った2種類の出汁を加えて煮込む。こまめにアクを取りつつ、煮立ってきたら火を弱めて更に煮込む。具材が柔らかくなったら酒と醤油で味付け。味見をして塩で調整したら出来上がりだ。

「さぁ出来たぞ、けんちん汁。後は……握り飯もか。」

「そうですね
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