第二十四話 やつれていく身体その八
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「国内においてはな」
「敵になり」
「しかも切れる方であられるので」
「厄介ですね」
「それも非常に」
「そうだ」
まさにというのだ。
「だから問題だ」
「味方であり敵でもある」
「そうした方だからこそ」
「どうにも」
「その太子がだ」
彼等から見て複雑な立場にある彼がというのだ。
「厄介だ」
「旧教の方ですが」
「しかし敵かといいますと」
「完全ではない」
「だからですね」
「除くことも出来ない」
「しかも」
太子、彼はというのだ。
「あの方はロートリンゲン家の方」
「ロートリンゲン家の跡継ぎの方」
「後ろにあの家がいるとなりますと」
「どうしても」
「除けません」
「何があっても」
「そうだ、この国から出てもらうこともだ」
それもというのだ。
「出来ない」
「どうしてもですね」
「そうですね」
「あの方については」
「頼もしい味方ですが厄介な敵でもある」
「それがあの方ですね」
「そうなる、彼の狙いはわかっている」
太子の考えをだ、王は手に取る様にわかっていた。
「この国もだ」
「ロートリンゲン家のものとする」
「それですね」
「マイラ様との間にお子をもうけられ」
「そのお子をこの国の主とされる」
「それですね」
「旧教が主の国に戻してな」
そのうえでというのだ。
「そう考えている」
「そのことは明白ですね」
「エヴァンズ家の名は残っていても」
「それでもですね」
「ロートリンゲン家のものとなりますね」
「実質的には」
「そうなりますね」
「その通りだ」
まさにとだ、また言った王だった。
「それは避けたい、だからこそだ」
「エヴァンズ家の血が濃い北の国の王子を」
「あの方をですね」
「王位に就いて頂く」
「そうなりますね」
「それが最もいい、あの国も旧教がまだ強い国だが」
しかしというのだ。
「王子はな」
「はい、あの方はです」
「既に新教徒になられています」
「ですから」
「ここは、ですね」
「そうだ、あの王子をだ」
王は言った。
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