第62話 くだりモノ
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弱の推移
憎しみと恐怖の境目
感受性が先天的に強い子供の前で肉親や友人を殺した時の反応
脳に直接エネルギーを流し込み、能力開発が可能か?
「そんな事を......」
「私も同行した事があるけどね......ほとんどが発狂したり、廃人になったりしたわよ」
ゼツの今までの実験成果を見ながら、テレスティーナは胸糞が悪そうに頭を叩いた。
「その後は?」
「さあね......はっきり言えるのはマトモじゃないってことかしら。ただ......」
「ただ?」
木山がテレスティーナと向かい合うように座った。
「憎しみや恐怖を与えることに特化していたわね。あとは、地下で見た異質なカプセルに入ったクローン体かしら」
テレスティーナがゼツの研究室に訪れた時に一瞬だけ見えたカプセル。
見ているのに気付いたゼツは、ボタンを押してカプセルを外部から見えなくして地下にしまった。
液体で満たされたカプセルの中に肉付きが良く、長い黒髪をした男性が眠っていた。
「あとは......」
テレスティーナが顎に手を当てて思い出そうとしていると......
「影......」
木山は呟くように声を出した。
教え子達を助けに行った時に地の底から這い出ようとする実体無き影。
囚われた瞬間に生きている中で後悔したこと悪夢が呼び起こされそうになった。
しかし、懐かしい子供達の助けにより逃げる事が出来たのだが......救う事は出来なかった。
「影......負の感情?これにはどういう繋がりがあるのかしら」
「分からない......ただ、サソリ君は奴について何か知っているようだった」
「サソリ様が?」
「ん!?様」
いきなり立ち上がり、かなり興奮した様子のテレスティーナが唖然としている木山を見下ろした。
心なしか眼鏡が光っている?
「サソリ様ねー!あの何もかも見透かす眼に見られた時の何とも言えない浮揚感......最高だったわ」
「.......」
コーヒーを片手に軽く距離を取る木山。
「サソリ様の能力は素晴らしいわ!神に近いわね。いつサソリ様に会うのかしら」
「あ、ああ今度になるな」
「その時は私を連れて行きなさいよ!」
腕を組んで崇めるポーズを取るテレスティーナを横目に木山は眉間にシワを寄せて困ったように愛想笑いをした。
サソリ君の元には不思議と人が集まるな
これも彼の人徳か......
私もその一人だが
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