第62話 くだりモノ
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と隠し通そうとしていた事柄だった。
これで自分の罪が清算出来た訳ではない。
無我夢中で術を使い、フウエイに生命の灯火を強くさせた。
師から弟子へ
祖母から孫へ
最期に教えられた術だ
まるでチヨバアはこれを見越して教えたかのようにすら思える
「サソリ!?もしかして、そのせいで」
御坂は今にも泣きそうになりながらサソリの骨ばかりの肩を掴んで顔を向けさせた。
「な、何で......?そこまで......」
「悪かった......なんか身体が勝手に動いてな......もう、喪うのは嫌だったから」
ここまで来て、サソリは自分の中でミサカを助けた具体的な意味なんて自分にはない事を知った。
ずっと合理主義で人生を歩んでいたサソリに取ってみれば、自分の生命を削ってまで残す価値は無いに等しい。
それなのに.......
くだらないって一蹴した筈の祖母の術に救われた感じがしてむず痒い。
御坂は泣きながらクッキーの袋を乱雑に掴むとサソリに押し付けるように渡した。
「ん!」
「?」
「黙って受け取って......お願いだから謝らないで」
もう、涙だが鼻水だが分からないくらいにグシャグシャになった御坂がティッシュで拭いながら鼻をかんだ。
クッキー?
袋を開けてサソリが中身を確認すると前に食べたクッキーより些か図形が不恰好な星型のクッキーを手に取った。
「な、泣くなよ......どうすりゃ良いか分からん」
なんか面倒な事になるから黙っていたのに......面倒な事に......
父さん、母さん
まだ小さい頃に求めた仮初めの愛情
人形にした両親
あの時に死ななかったら変わっていたかもしれない
忍世界に憎しみを抱く事もなかったかもしれない
祖母と死闘をするという面倒な事もなかったかもしれない
人生は後悔ばかりだ......
なんかそんな後悔をコイツらには味わって欲しくなかった
サソリは佐天のベッドに寄りかかりながらぼやっとバツが悪そうに天井を見上げている。
佐天の姿が何かと重なり懐かしい気持ちが沸き起こる。
「あ、あのさ......全部あたしが悪いの!!あたしのせいでたくさんの死んだし、あたしがDNAマップを渡さなかったら、サソリだって無事だし、あの子達が痛みを受けることもなかったのよー!全部あたしがーーー」
身体を震わしながら御坂は嗚咽交じりで溜め込んだ言葉を吐き出した。
前屈みになり佐天の部屋のカーペットに涙が滴り落ちる。
「......そうだな......お前が発端だな」
サソリは目を瞑りながら少しだけ冷たく言い放った。
「サソリ!?」
佐天が慌ててサソリと御坂の間に入ろうとするが、サソリは細い腕で制した。
「だが、そのお陰でフウエイが生まれた。アイツは全力で生き
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