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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■???編 主人公:???■■
広がる世界◆序章
第七十話 子どもたち
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「うーん、権限が簡単に上がる方法とかなら気になるけどな、俺神聖術の才能ないし、あんまり興味ないかな……」
「そりゃキリトは私が教えてあげるって言ってるのに練習サボってばかりだからでしょ。ユージオは?」
「僕もあんまり。それにまだ今日の分の天職が終わってないからさ、あんまり長く休憩するわけにいかないし」
むぅ、と頬を膨らませたアリスだが、しょうがないと納得したようだ。彼女は11歳にも関わらず例外的に天職についていないが、そうはいっても家の手伝いをしなくてはならないため、彼女にもあまり時間がない。

「お前さえ良ければ、家のこと手伝ってやってもいいぜ。シスター・アザリアも、お前さんの手伝いをするぶんには許してくれるだろう。夜時間ができたら神聖術の解読をすればいい」
 ミズキの提案に、しかしアリスは首を振った。
「それはいいわ。家のことは私の仕事だもの。そうね、ミズキさえよければセルカの遊び相手になってくれないかしら。本当なら私が面倒見てあげられればいいんだけど、私はほら、やることがいっぱいあるから」
「それくらいならお安い御用だけど、お前の母親はどうしてんだ? いつもなら家にいるんじゃないのか?」
「家にはいるんだけどね、少し前に大けがをしてまだ体調がよくないのよ。怪我自体はもうとっくに回復してきてるんだけど、天命の減りが速いものだから、まだ一応安静にしておいたほうが良さそうなの」
「そういうことならまかせとけ」

 ミズキが頷くと、キリトとユージオが斧を持ち上げて休憩の終わりを宣言した。
「それじゃ休憩終わり、続きいくぞ! 今日のシラル水は俺のものだ!!」
「いんや僕だね。今日は僕のほうが二回多くいい音させてる。追いつけるもんなら追いついてみなよ」
「言ったな! せえい!!」
 キリトが斧を振り下すと、斧は巨大な杉の切れ込みの中心を見事に叩き、こおんという澄んだ音を響かせた。キリトが得意げな顔で振り返ると、ユージオが驚いて嘘だろ、とつぶやく。
「ほらみろ、これで一回差だ!! そら次!」
 もう一度振り下ろすが、今度は中心からだいぶ離れた場所を叩き、鈍い音がしただけだった。ユージオが安心してため息をつく。
「そんなすぐに挽回できるもんか。力むと余計に失敗するぞ」

 仕事を再開したキリトとユージオに背を向け、アリスとミズキは村への帰路についた。

 そう、彼らはまだ知らなかったのだ。彼らの日常を壊すあの事件が、もうすぐ起こるということを。
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