暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
汁物の仕上げ
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プース・カフェ・スタイルと呼ばれるカクテルの方式で、口に含む事で初めて味が完成するのだ。

「お待たせ。『グリーン・ホッパー』だ。まずは何も聞かずに飲んでみな。」

 二人は恐る恐る口に運ぶ。

「あ、この味……」

「チョコミント!私、あまりお酒は得意じゃないけれど、これなら美味しく飲めそうです。」

 大鯨が頬を綻ばせてニコニコ笑っている。あぁ、癒される笑顔してんなぁこの娘。

「まぁな。クレーム・ド・カカオは口当たりの良さがウリだから。」

 クレーム・ド・カカオとは、チョコレートの原料であるカカオ豆を焙煎し、アルコールと共に蒸留。更にカカオの浸漬液やカカオ色素で濃い褐色に色付けした物が一般的だ。まぁ今回は彩りを考えて着色せずにバニラの香りとシロップを加えたホワイトタイプを使った。クレーム・ド・ミント・グリーンも同様、ミントを漬け込んだリキュールで、円やかな口当たりと鮮やかなグリーンが特徴だ。甘過ぎず、かといって辛すぎず、絶妙なバランスの一杯だ。



 さて、野菜に火が通るにはもう少しか。ならばもう一杯、今度は温かいカクテルをご馳走しようか。用意するのはマグカップ。温かいカクテルだからな、ガラスのグラスは似合わない。そこにゴールド・テキーラを30ml、クレーム・ド・カカオを15ml。今度は一般的なブラウンタイプを使う。更に香り付けにレモン・ジュースを5ml。そして仕上げにホットコーヒーを適量注いでステアすると完成だ。

「『ホット・パイパー』だ。それを飲んだら作業再開するぞ。」

 二人とも似たような動きでフーフーと息を吹き掛けて冷まし、普通にコーヒーを飲むようにズズズと啜る。

「……なんだか、カフェモカみたいな味だね。」

「でも、お酒が入ってるからか余計に暖まってる気がします。」

 本人の話通り、大鯨は酒が強くないのか顔が赤くなってきている。大丈夫かよ、オイ。



 さて、豚汁とせんべい汁を仕上げてしまおう。蓋を開けるとどちらの鍋もグラグラと煮立っている。豚汁の方には賽の目に切った豆腐を加え、豆腐が温まったら火を止める。味噌汁作りにも言える事だが、味噌を溶き入れる時には必ず火を止める。そうでないと味噌の旨味や香りが逃げてしまう。これは味噌を使う時のいろはのいの字だ。味噌を溶いたらここで味見。塩気の強弱はここで調整してな。

「うん、良い味だ。」

 使う味噌は赤味噌系がオススメかな。野菜の量が多いから、白味噌だと甘く感じるかも。勿論、自分の好みに合わせて合わせ味噌でもOKだ。

 今度はせんべい汁だな。こっちは醤油ベースの味付け。顆粒の鰹だしと昆布茶を少々加えて、そこに酒と醤油。味見をして、自分の基準にする汁物の塩気よりほんの少ししょっぱい位が丁度良いかな。後からせ
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