寒くなったら食べたい汁物トリオ
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「はぁ。まぁいいや、作り方は教えてやるからお前も手伝えよ?時雨。」
「勿論さ。ホラ、エプロンだってもう持ってきてあるんだ。」
そう言ってピンクのエプロンを着ける時雨。さてと、じゃあ始めますか。
「それで提督、今日は何を作るんだい?」
「今日は豚汁とけんちん汁、それにせんべい汁を作ろうと思ってな。」
そう言うと二人は首を傾げた。
「豚汁とけんちん汁は知っているけれど、せんべい汁は初耳ですね。」
「そもそも、お煎餅を汁物に入れて美味しいのかい?」
だよなぁ。知らない人が聞くと、大概そういう反応だ。
「まぁ待て。そもそも、お前らが想像している煎餅とせんべい汁のせんべいは別物だ。」
せんべい汁のせんべいは、南部せんべいという岩手と青森の辺りで昔から食べられていたせんべいを使う。普通の煎餅は呼んで字の如く薄切りにした餅をパリッと焼き上げた物だ。それに対して南部せんべいは、主原料は小麦粉。昔は米が殆んど取れなかった土地柄からか、岩手北部と青森の辺りには小麦粉やそば粉を使った郷土料理が多い。せんべい汁ってのは、その南部せんべいのなかでも汁物に適する様に堅焼きにした南部せんべいを使った料理、って訳さ。
「へぇ、やっぱり料理って地域性があるんだね。」
「まぁな。今日のは我が家のレシピだから、多少有名なレシピとは違うかも知れんが、味は保証するぜ。」
んじゃ、作っていこうかね。
豚汁にもせんべい汁にも、我が家で欠かせない具材はゴボウ。今日はそれぞれに2本ずつ、合計4本を使おうか。
「二人はゴボウを笹がきにしてくれ。俺はその間に他の具材を準備するから。」
我が家の豚汁は、とにかく具沢山だ。ゴボウ・ニンジン・長葱・玉葱・ジャガイモ・椎茸・榎茸・大根・白菜(又はキャベツ)・豆腐・コンニャク。そして最後に豚肉。これをまとめて炒めて煮込んで作るのだ。
ゴボウは皮を剥かずにたわしでよく泥を落としながら水洗いして皮付きのまま笹がきに。笹がきにしたら真水に着けて軽く灰汁抜き。
「提督、酢水の方が灰汁は抜けるんじゃないのかい?」
このレシピで作った経験の無い時雨が質問してくる。
「ゴボウは皮から良い出汁が出るんだ。それに、酢水だとその出汁まで抜けちまうからな、水でいいんだ。」
そう、我が家の豚汁の特徴としては、鰹や昆布などはまず使わない。野菜と豚肉から出る出汁で仕上げる。そのためには炒める順番が重要になるからな。
ニンジンは細切り、長葱は斜め切り、玉葱やジャガイモは食べやすい大きさに。椎茸は干し椎茸を戻して使う。戻し汁は煮込む時に使うからとっておく。戻した干し椎茸は半分に切ってスライスし、榎茸は石附を落として適当な長さに。せんべい汁に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ