600部分:第八十六話 四柱の神々その三
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第八十六話 四柱の神々その三
「忘れられるものではない」
「だからだ。私もまた」
「教皇としてじゃな」
「読んだ。だからこそ手を打つ」
また言うシオンだった。
「幾らでもだ」
「この世の為にか」
「誰一人として失わせはしない」
シオンは今度は。己の決意を語った。それを語ってそのうえで言うのであった。
「絶対にだ」
「わし等の運命は既に決まっておる」
「嘆きの壁でか」
「そのうえで。全てをじゃな」
「私もまた」
彼もだという。シオン自身もだと。
「そうなる。全てはわかっている」
「御主も辛い役目ばかり背負うのう」
「教皇として当然のことだ」
笑いはしなかった。それを受け止めてだ。あえて言うのであった。
「それもだ」
「そう言うか」
「何か問題があるというのか」
逆に聞き返す形になっていた。
「それが」
「いや、御主らしいと思ってじゃ」
男はこの言葉を告げただけであった。
「それがのう」
「それがか」
「そうじゃ。しかしその御主だからこそじゃな」
「それが私らしいのか」
「そうじゃ。わしもそれができればのう」
「御前は御前で自分の任を果たしてくれている」
シオンは男に対して述べた。
「それで充分だ」
「そう言ってくれるか」
「左様。それでじゃ」
「うむ」
「聖域への攻撃はかなりのものになるぞ」
男が次に言う言葉はこのことだった。
「あの神々が来るからのう」
「それはわかっている」
シオンはそれはもう当然のこととして把握しているのであった。
「しかしだ」
「しかし?」
「その為のシャカだ」
「あの者か」
「シャカならばやってくれる」
彼への絶対の信頼も見せる。それは彼に対してだけではないがそれを見せるのだった。
「そしてだ」
「そして?」
「私もいる」
彼も、即ちシオン自身もだというのだ。
「シャカだけではない」
「ふうむ。御主も戦うというのか」
「何か不都合があるか?」
「いや、やはりそれもまた御主じゃ」
何処までもシオンらしいと。そう語るのである。
「自らも戦うとはのう」
「あの方もまたそうだったからな」
「そうじゃな。まことにな」
「私もだ。教皇として戦う」
「うむ、ならばそうするがよい」
「わかった。それではだ」
男に言われて確かな声で頷くシオンだった。
「そうさせてもらう」
「うむ、それではな」
「さて、それではじゃ」
「何だ?」
男の言葉が変わった。シオンもそれに応えるのである。
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