■■???編 主人公:???■■
広がる世界◆序章
第六十九話 ここはどこ
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
シスター・アザリアはとても厳しそうな人物で、初めて会った際には少々萎縮してしまったが、アリスの言葉添えもあり、幸いにも彼はしばらくの居場所を確保することに成功した。それも一日二日ではなく、記憶が戻るまで、あるいは生活の術を見つけるまで居ても良いという。シスター・アザリアとこの世界の唯一神ステイシアの施しに感謝しつつ、彼は客間のベッドに腰を掛けた。改めて、この世界が一体どこなのかを考える。
この世界に来てから4日が経過した。その間、とりあえず彼は村人たちと交流し、情報を収集して分かったことは、村人たちの言葉を信じるなら、どう考えてもここは異世界か何かだということだ。
いわく、人間の居住地域をぐるりと取り巻く山脈があり、その外側は魔物が跋扈している。山脈を超えるのは国の法律より上位にあたる教会の法律、『禁忌目録』で禁じられている。
いわく、この村の南に生えている樹は、高さ70メル(1メルは1メートルより少し短い)程度もあり、太さも直径4メルある。こいつを切り倒そうと300年の木こりが世界一硬い斧で切り進めているが、切れ込みはせいぜい1メル程度だとか。
いわく、村の中央にある鐘は人の手で鳴らしているのではなく、ひとりでに鳴る『神器』である。
いわく、セルカは教会で『神聖術』と呼ばれる魔術のようなものを習っている。
正直、神器だの神聖術だのといったものが出てきたあたりで、ミズキにはお手上げであった。彼は現実に対して努力するのが精いっぱいで、実のところあまり読書経験はないし、ゲームもしなければ映画も見ないため、ファンタジー関連の知識が少ないのだ。
ともかく、彼の今後の方針はすでに定まりつつあった。まずはこの世界がミズキのかつて暮らしていた世界と同一なのかどうかを確かめなくてはならない。なにせ、現状はまるで異世界に連れてこられたとしか思えない状況なのだ。
まずは最初の実験だ。天井の高い部屋の一角を借りて、ロープで天井から石をつるし、思いっきりゆする。最初石が往復する経路に印をつけておいて、停止直前に往復する経路と比較をするのだ。
なんのことはない、いわゆるフーコーの振り子の実験である。ここが自転する地球上なら、石は地球の自転の影響を受け、往復経路がしだいに方向を変えるはずだった。
しかし、その予想に反して、振り子の往復経路は決して変化することはなかったのである。30回以上の実験を重ねてもその結果は変わらず、彼はその実験結果を受け入れざるを得なかった。なんということか、この世界では地球は自転していない。いよいよ異世界にやってきたという感が否めなかった。
とすると、次は『神器』や『神聖術』といった、今までいた世界には存在しなかったものを検証する必要がある。
次の実験で、彼はこの世界の仕組みをわずかに知
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ