第三十七話 三年生なのでその二十二
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「本が一杯ありますから」
「大きいですしね」
「そう、凄く大きいから」
他の学校のものとは違います、桁が。
「本の蔵書も多いのよ」
「そういえば芥川の全集ありますね」
ここで阿波野君も気付きました。
「太宰も夏目漱石も」
「他にも一杯あるでしょ」
「はい、他のジャンルの本もあって」
「だから読む分には困らないのよ」
「高校三年で読みきれる量じゃないですね」
阿波野君も唸っています。
「最初学校案内で見せてもらって驚きました」
「そうでしょ、施設はとにかく整ってるのよ」
天理高校の特徴です。
「天理教自体が教育に凄く力を入れてるから」
「そのせいですね」
「そうよ、とにかくね」
私はさらに言いました。
「本を読む分には困らないわよ」
「じゃあ読書の青春も」
「この高校では出来るわ」
文学少年、文学少女のそれもです。私はあまり本を読む方ではないですがそれでもこの高校ではそうしたことも出来ます。
「だからね」
「僕もですね」
「読書もね」
「楽しめるんですね」
「そう、だから何でも楽しんでね」
「楽しんでそして」
「お勉強もね」
このことを言うのも忘れませんでした。
「いいわね」
「本来の学業と、ですね」
「おみちのこともよ」
「わかりました、そして将来は」
阿波野君はにこにことしたまま私に言ってきます。
「天理大学に進学してもっとおみちのことを勉強して、そして」
「そして?」
「一緒に、ですね」
何故かまたしても私の方を見てきました。
「宜しくお願いしますね」
「宜しくって何が?」
こうした時いつも見てくる阿波野君がわからないです、今回もこう言ってきたので一体何を言っているのかしらと思っていました。
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