第三十四話 ハウステンボスでその二
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「やっぱりな」
「程々にね」
「二本は多いか?」
「朝も飲んだのよね」
「シャンパン何杯かな」
実際に飲んだというのだ。
「飲んだよ」
「それで今も二本なのね」
「最初から俺結構顔赤かったよな」
「ええ、結構ね」
実際にとだ、優花は龍馬に答えた。
「龍馬のお顔赤かったわ」
「やっぱりそうだったよな」
「朝から結構食べたのね」
「その前に実は走ってたんだよ」
「ここで?」
「ああ、ホテルの人に起こしてもらう様に頼んでな」
そのうえで、というのだ。
「朝から走ってたんだよ」
「そうだったの」
「結構走ったぜ、十キロ以上は」
「またかなり走ったわね」
「部活のことがあるからな」
旅行に行っていてもというのだ。
「俺も選手に選ばれたし」
「あっ、よかったわね」
「そのことも意識していてな」
それでというのだ。
「朝起こしてもらって走って」
「それからお風呂に入って」
「朝御飯食べてるけれどな」
「そして今こうしてなのね」
「飲んでるんだよ」
優花と共にというのだ。
「飲み過ぎか」
「走ってお風呂入ってカロリー消費してるけれど」
「酒で水分摂れないからな」
「ええ、だから飲み過ぎもよくないし」
「ちゃんとした水分も必要か」
「そこは気をつけてね」
くれぐれもという口調での言葉だった。
「そうしてね」
「ああ、そうするな」
「本当にね」
「飲み過ぎはよくない」
「それは間違いないから」
「そうだな、ただこうしてちゃんと注意してくれるのがな」
ここでだ、龍馬は。
優花のその顔、すっかり可愛らしい少女のものになっているそれを見てだ。龍馬はくすりと笑ってそのうえでこうも言った。
「変わらないな」
「前と」
「神戸にいた時とな」
あえて男だった時とは、と言わなかった。
「同じだな」
「性格は変わっていないっていうのね」
「そうして細かいところも言ってくれたりな」
「変わっていないのね」
「ああ、いい感じだな」
笑顔で言うのだった。
「変わってなくてな」
「いいのね」
「やっぱり優花はな」
それこそというのだ。
「こうじゃないとな」
「言わないとなの」
「いられないか」
「よく小舅、いえ小姑ね」
「注意してくれよ、そこは」
龍馬は誰にも聞こえない小声で言った、このことは。
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