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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十九話 内乱終結後(その3)
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分かっている、誰だってこんな仕事はしたくない。エーリッヒは俺に嫌な思いをさせまいと自分からこの仕事を買って出たのだろう。仕様のない奴だ。
「……これからは俺が彼らをコントロールする。卿は直接接触するな」
「……」
「それが俺の仕事だ、卿が気にする事じゃない」
俺の言葉にエーリッヒは溜息をついた。
「分かった……。ギュンター、済まない」
「変な遠慮はするなよ。それから何でも自分で背負い込もうとするのは止せ。もっと俺を信用しろ」
「信用しているよ、卿が信用できる人間だというのは分かっている」
エーリッヒが苦笑した。
「そうじゃない、俺は卿のためなら汚れ仕事などなんとも思わんと言ってるんだ!」
エーリッヒは一瞬俺を見て、俯いた。そして小声で呟いた。
「有難う、ギュンター」
全く仕様のない奴だ。辛辣な策を考え付くのに冷酷になりきれない。肝心な所で甘さが出る。だから敵から見れば隙があるように見え、付け込む事が出来るように思えるのだ。それがどれほど危険な事か……。人が要るな、エーリッヒを守る人が要る。俯いたままのエーリッヒを見て思った。
帝国暦 488年 6月 3日 オーディン 憲兵本部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
困った奴だよな、俺を困らせるような事ばかり言う……。まともな人間なら人を陥れるような事には気が引ける。キスリングだって同様だろう、こいつはまともすぎるほどまともな奴だ。それなのに……。
「ギュンター、捜査のほうはどうなっている?」
「ローエングラム伯は……」
「いや、伯の事はいいんだ、宮内省と内務省の件を聞きたい。宮内省の顔の分からない男は誰だった? 分かったんだろう?」
俺の言葉にキスリングは黙って頷いた。
宮内省の顔の分からない男、内務省とフェザーン、そしてオーベルシュタインと組んでいた男だ。ノイケルン宮内尚書を操り、不要になると始末した男。その男を特定できなかった事があのバラ園の事件を引き起こした……。
「宮内省侍従次長カルテナー子爵だ」
宮内省侍従次長か……。皇帝の傍近くにいる男だ、フェザーンが大事にするはずだな。情報源としては最高だろう。
「……となると例の薬は」
「ああ、カルテナー子爵から伯爵夫人に渡ったそうだ」
カルテナーから伯爵夫人か、その元はオーベルシュタインと内務省。彼らの処分は決まっている。ローエングラム伯の簒奪に加担した。単なる反乱ではなく簒奪に加担したとして死罪になるはずだ。問題はルビンスキーだな、奴が何処までこの件に絡んでいたか。
「ギュンター、カルテナー子爵はフェザーンとの繋がりを吐いたのかい?」
「ああ、ルビンスキーと直接繋がっていたらしい。連絡は常にルビンスキーとのみ行なっていた。おそらくはボルテックも知らな
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