第1章
旧校舎のディアボロス
第12話 元カノ、倒します!
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地下の祭儀場から聖堂に戻った俺は、アーシアを長椅子の上に寝かせる。
「アーシア、しっかり!? ここを出れば、アーシアは自由なんだぞ! 俺や明日夏たちと、いつでも一緒にいられるようになるんだぞ!」
ゆっくりと目を開けるアーシア。
微かに上がった手を俺は両手で握りしめる。
握りしめた手は、とても冷たく、生気が感じられない。
「・・・・・・私、少しの間だけでも、お友達ができて幸せでした・・・・・・」
「何言ってんだ! 全部終わったら、遊びに行こうって約束したじゃないか!? 連れていきたいとこ、いっぱいあるんだからな! ゲーセンだろ、カラオケだろ、遊園地だろ、ボーリングだろ、他にはさ・・・・・・あれだよあれ、ほら! そうだ、明日夏以外のダチにも紹介しなきゃ! 松田、元浜って、ちょっとスケベだけど、すっげーいい奴なんだぜ! 絶対、アーシアと仲良くなってくれるからさ! 皆でワイワイ騒ぐんだ! バカみたいにさ!」
涙が止まらない。
笑いながら話しかけているはずなのに涙が止まらなかった。
わかってる。理解できている。この子は死ぬんだと。
それでも否定したかった。こんなことは嘘に決まっている、と。
「・・・・・・この国で生まれて、イッセーさんや明日夏さん、千秋さんと同じ学校に行けたら、どんなにいいか・・・・・・」
「行こうぜ! いや行くんだよ! 俺たちとさ・・・・・・!」
アーシアの手が俺の頬を撫でる。
「・・・・・・私のために泣いてくれる・・・・・・私・・・・・・もう、何も・・・・・・」
アーシアは涙を流しながら微笑んでいた。
「・・・・・・ありがとう・・・・・・」
頬を触れている手が静かにゆっくりと落ちていった。
アーシアは微笑みながら、その言葉を最後に動かなくなった。
「・・・・・・アー・・・・・・シア・・・・・・」
アーシアが死んだ。
「なんでだよ? なんで死ななきゃなんねぇんだよ? 傷ついた相手なら誰でも・・・・・・悪魔だって治してくれるくれぇ、やさしい子なのに!?」
俺はアーシアを抱きしめ、教会の天井に向かって叫ぶ!
「なあ、神様! いるんだろう!? この子を連れていかないでくれよ!? 頼む! 頼みます! この子は何もしてないんだ! ただ友達が欲しかっただけなんだ!」
天に訴えかけても応じてくれる者はいない。
「俺が悪魔になったからダメなんスか!? この子の友達が悪魔だからナシなんスか!? なあ、頼むよ、神様ァァァッ!?」
悔しさに歯?みした。
俺は弱い。俺は無力だ。
もっと力があれば・・・・・・アーシアを救えるだけの力があれば・・・・・・!
今更後悔しても、アーシアは目を覚まさない。笑わない。
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