第191話 洛陽炎上
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わ。お互い目的の人物を確保しましょう」
真悠は冷静な態度で凪に返事した。凪と水蓮は彼女の言葉に頷く。真悠と凪が背後にいる兵士に目配せすると、真悠達は統率のとれた動きで董卓の屋敷に近づいた。禁軍が董卓軍を引きつけていたため、真悠達は容易に董卓の屋敷に辿り着き、その塀から屋敷内に侵入することができた。
真悠と凪はそれぞれの目的のために動き出した。真悠と彼女の兵士達は彼方此方から火の手が上がる中を早足で移動していた。彼らが向かう先は屋敷奥だった。
既に屋敷内には殆ど涼州兵達はいなかった。全て屋敷外に出て禁軍と交戦しているのだろう。真悠は悠々と歩き進んだ。そして、彼女は突然進むのを止めた。彼女の目の前には重厚な扉が立ちはだかった。真悠は目配せで兵士達に扉を開けさせ中に足を踏み入れた。火の手の勢いが激しいため、時間的な猶予はあまりない。
真悠は扉の奥に足を踏み入れると周囲を見回した。
「何者だ!」
真悠の視界には部屋の奥の隅に寄りこちらを睨む男がいた。男は髭を生やしやつれた様子だった。だが、身なりからして、それなりの身分の人物に見えた。風体からして、董卓軍関係者には見えない。関係者ならこんなにやつれた様子ではないだろう。
「私は司馬季達。劉正礼の義妹です。貴殿の名は?」
真悠は相手が分からないことから士大夫らしく名乗りつつ、剣を鞘に納刀した。これで相手が妙な反応を取れば、真悠は目の前の男を殺害するつもりだった。彼女はさりげなく腰に指す剣に手をあてた。
男は真悠の言葉に強く驚愕した表情に変わった。そして、その瞳には強い期待の色が感じられた。
「そなたは劉車騎将軍の妹なのか!? 余は劉弁である」
男は自らを劉弁と名乗るとたどたどしい足取りでゆっくりと歩きながら真悠に近づいてきた。
「いかにも私は劉正礼の義妹です。貴殿が先帝と仰られるなら証をお示しください」
真悠は手で劉弁の動きを制止すると、彼に身の証を立てるように求めた。それに劉弁は困った表情になるが、真悠の指示に大人しく従った。相手は武装しているため、おとしなく相手の意向に従うしかないと納得したのだろう。
「証は立てることはできない。だが、余は協から劉車騎将軍との関係を聞いている。妹は劉車騎将軍と親友の誓いを立てたと言っておった」
劉弁は劉協と正宗との関係を話す時、心痛そうな表情を浮かべていた。その様子を見て真悠は劉弁であると悟った。彼女は突然態度を改め両膝をつき拱手した。
「弘農王、ご無礼お許しください」
真悠に倣い彼女の部下達も同じく両膝をつき拱手した。劉弁は怒る様子はなく落ち着いていた。
「この状況で余が誰か分かるわけがない。許そう」
劉弁は穏やかな表情で真悠に声をかけた。真悠は許しを得ると拱
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