第191話 洛陽炎上
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った。
「都へ突入時に劉景升を見つけ次第誅殺されますか?」
揚羽は劉表誅殺の進言を行った。正宗の言葉の端々には劉表は最早用済みと言っているように聞こえたのだろう。だが、揚羽の進言とは裏腹にかぶりを振り否定した。その様子に揚羽は意外そうな表情だった。
「殺す必要はない。恥も外聞もなく賈文和に屈すような者だ。劉景升の名は地に落ちたようなものだ。最早、清流派の士大夫としては終わりだ。殺す価値もない」
正宗は言葉を句切り揚羽を見た。
「それに私は劉g殿との関係を悪くするつもりはない。益州を切り崩すには劉g殿の力が必要となる」
正宗は笑みを浮かべ揚羽を見た。揚羽は正宗の言葉に得心した様子だった。
「確かに。劉景升にまだ利用価値がありました。正宗様が劉景升をお許しになられれば、劉g殿は正宗様に篤い恩義を感じすることでしょう。益州は要害の地、益州攻めに専念するためには荊州を安定させる必要があります」
「だから、劉景升の罪は不問とする。その他の百官は董仲穎に荷担した罪で誅殺せよ。揚羽、助命する価値のある者はお前に一任する。それと義母上をしっかりと保護するのだぞ」
正宗は揚羽に揚羽の母の保護を念押しした。
「かしこまりました。母のことは問題ありません。死ぬような人間ではありません」
揚羽は達観した様子で正宗に答えると、間諜を連れて立ちさった。その後ろ姿を正宗を見送っていた。
「真悠、役目を忘れるなよ」
正宗は神妙な表情で都にいる真悠に向けて声をかけた。彼の声は夜風にかき消えた。
正宗と揚羽が間諜から都の状況を聞き終えた頃、黒衣に身を包み夜陰に潜む集団がいた。彼らの一部は董仲穎の屋敷の向かい側の屋敷の屋根に登り体勢を低くして屋敷内を窺っていた。
集団は真悠と凪、それに兵士達であった。彼らは何を待っているようだった。何も語らずただ董卓の屋敷を窺っていた。
しばらくすると董仲穎の屋敷に火矢が雨のように降り注いでいた。屋敷の外で夜警の番に従事していた涼州兵達が異変に気づいたのか、剣撃の声が鳴り響いた。しかし、火矢の雨は止む様子もなく董仲穎の屋敷に降り注いだ。次第に怒号が響き剣撃の激しい音が鳴り響いた。
その様子を見つめながら真悠は愉悦の表情を浮かべていた。彼女は口角をつり上げ眼前で炎に包まれる董卓の屋敷を眺めていた。彼女の傍らには凪と水蓮、そして彼女達の背後には兵士達が抜刀し戦闘態勢を取っていた。真悠を筆頭に全員に戦意は最高潮だった。
「そろそろ頃合いだわ」
真悠は表情を引き締め凪を見た。すると凪と水蓮は肯定し強く頷いた。
「真悠さん、禁軍を抱き込んだ手並み感服いたしました」
凪は心底感心した様子で真悠に声をかけた。
「世辞はいい
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