思うのは、あなた一人
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私はいつからか人の隣に立たなくなった。
一人でも大丈夫なように過ごしていた。
それは、周りの人を傷つけないためだった。
他の人と同様に彼と過ごしていたはずだった。
彼の隣で過ごす暖かさを知ってしまった。
彼の隣に立てる事の幸せを知ってしまった。
「彼の幸せを考えたら、私は」
隣にいるべきではない。
私は人の形をした化け物なのだから。
普通ではないのだから。
だから、別れようと思う。
彼を巻き込んでしまう前に。
私は最後に、最高の笑顔でこう言い放つ。
「世界で一番、大嫌い」
と。
彼の反応は想像通りの悲しそうな顔。
うまく笑えてるといいな。
その後の記憶はおぼろげで。
気が付いたら、私一人の世界にいた。
そんな世界で、私はさみしくはなかった。
「君が笑っていますように」
哀しげに微笑んで言葉をこぼした。
この願いを願い続けることができる間は、さみしくはないのだろう。
「私が思うのは、あなた一人」
私しか存在しない世界で、曼珠沙華が静かに揺れていた。
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