593部分:第八十五話 八つの封印その四
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第八十五話 八つの封印その四
「ここに最早狂闘士はいないのだからな」
「その通りですね。それでは」
「帰るとしよう」
「はい」
アイオロスの言葉に頷くムウだった。そして他の者もだ。
「じゃあ私達も」
「これで聖域に帰るのよね」
「やっぱり」
「当然だ」
アイオロスは青銅の四人に対しても告げた。
「皆帰らなくては話にならない」
「流石にここに残れとは言われないですね」
「それはないですね」
「いや、それは絶対にない」
残るということはであった。
「それはだ」
「ですよね。何かここでいることが長かったですから」
「それでついつい」
「戻れるかどうか不安になりまして」
それで不安になたのだという。真相はそうなのだった。
「けれど戻られるのなら」
「それで」
「当たり前だろ?敵がいないのにこれ以上残ってどうするんだい?」
「全くだよ」
そんな彼女達に魔鈴とシャイナも言ってきた。
「敵がいるからここに来たんじゃないか」
「いないのに残っても何にもならないよ」
「まあ考えたらそうか」
「そうよね、やっぱり」
「じゃあ」
「また言うが帰る」
アイオロスは三度言った。
「いいな、それではだ」
「はい、それじゃあ」
「帰りましょう」
「いざギリシアへ」
青銅の四人が笑顔で彼のその三回目の言葉に応えた。
「戻ってそれで」
「とりあえずはギリシア料理をね」
「そうそう、それをね」
「まずはね」
彼女達はギリシア料理のことを話して笑顔になるのだった。
「熱いお風呂にも入りたいし」
「アイスクリームとかも食べたいし」
「そうそう」
「しかし」
アイオロスはこうした彼女達の話を聞いていてふと思った。そうして言うのであった。
「四人共また随分と我慢していたのだな」
「やっぱりインドってあれですよ」
「物凄い国じゃないですか」
「本当に」
彼女は少し顔を顰めさせてそれぞれ言った。
「もう混沌としてるっていうか」
「おトイレも凄かったし」
「そうそう」
ここでトイレの話も出た。インドのトイレである。
「紙ないんですよ」
「水で洗うんですよ」
「しかも中から豚が顔出してきたりしますし」
「有り得ないんですよ」
「それがインドではないのか?」
アイオロスはそれを聞いてもこう返すだけだった。表情も素っ気無い。
「それがだ」
「それがだって」
「何ともないみたいですけれど」
「そうだ、何ともない」
まさにその通りだというのである。
「それがインドだからな」
「それがですか」
「信じられない言葉なんですけれど」
「ギリシアとインドは違う」
いぶかしむ声を出す四人にまた告げるのだった。
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