カノッコ村編
負けたくないから
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識してやってみて」
どれだけ失敗しようが問題はない。まずは早く書くことに体を慣らしていかないとな。
「うぅ・・・できるかな・・・」
彼女にしては珍しく弱気な発言。しかし、頑張るしかないと考えたサクラは、さっきよりも遥かに早い速度で腕を振っていく。
「おおっ!!結構早いね!!」
「速度は問題なさそうね」
「問題は別なところだよね〜」
いきなりのペースアップに感心しているウェンディたちだが、セシリーの言う通り問題はここから。例えどれだけ早く書くことができたとしても、発動自体がきちんとできなければ意味がない。
「はぁっ!!」
声を張り上げ最後の文字を書き切ったサクラ。その周りに魔法の文字が・・・
「出ないね」
「出てこないわね」
「失敗だね〜」
出てくることすらなく、あっさりと失敗に終わってしまった。
「やっぱりダメなんですね・・・」
元気な普段とは打って変わり、涙を滲ませ悔しさを露にしている少女。この辺は年相応といったところなんだな、以前のウェンディを見ているようで微笑ましい。
「大丈夫。失敗してもいいんだよ、練習なんだから」
頭を撫でながら諭すように声をかけ、彼女を慰める。いきなり成功するなんて思っていなかったから、これは許容範囲内。少しずつできるようになればいいんだ、まだまだやり始めたばかりなんだから。
「シリル先輩はどうやって魔法を発動してるんですか?」
すると、見本を見せてほしいらしくそんなことを言ってくる愛弟子。
「俺とサクラの魔法は扱い方が違うからね」
俺たちのは体の部位がドラゴンのそれへと変換されて魔法を発動しているらしいから、魔法陣を書くサクラとは要領が違う。だから彼女の手本には成り得ないことが正直なところだ。
「それでもいいです!!シリル先輩の魔法を見せてほしいです!!」
キラキラと輝く瞳でこちらを見つめてくるので、思わず表情が引き釣る。どうしようかウェンディたちに意見を求めようとそちらに視線を向ける。
「やってみたら?」
「うん!!サクラのお願いなんだも〜ん!!」
シャルルとセシリーはサクラの考えに賛成な様子。そしてもう一人の少女に視線を向けてみることにした。
「まずはやってみないと見本になるかわからないもんね」
俺に味方なんて一人もいなかったんだな。最後の希望にもあっさり裏切られてしまい、見本を示さなければならなくなった。
「わかったよ」
「やったー!!」
両手を上げて大きく万歳するサクラは期待の眼差しで俺のことを見つめてくる。こんなに見られながらやることを意識したことがなかったから、緊張で実力を発揮できるかわからない。
「ふぅ・・・」
一度大きく息をつき、心を落ち着け
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