Side Story
少女怪盗と仮面の神父 36
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では現代も奴隷制度が活用されている。特に女子供は使い途が多く、それだけで付加価値が跳ね上がる。
即ち、バーデルがミートリッテの売買を断る理由は殆ど無い。
けれど、途中でイオーネの気が変わった。
王子と元義賊が交わした賭けの詳細を知り、『(実態はどうあれ)戦力を増強させている貴族達』の他に、『犯罪者を匿った王族に対する一般民と貴族達の猜疑心で生じる国内の混乱』や、『商人殺害でバーデルを攻撃したアルスエルナ人』といった、反アルスエルナ派の戦備に使える口実と、関係各国の非難を防ぐ正当な牽制を入手できると踏んだから、方針を変えた。
よく考えると、この流れも少しおかしい。
アーレストは、イオーネ達も盗品に移ったマーマレードの匂いでネアウィック村に行き着いたと言った。
しかし。
南方領を訪れ去るバーデル方面御用達の商人は基本、西方領と直接繋がる酷道を避け、中央領を介して西方領の役所へ向かう。
国外に居たイオーネがシャムロックの潜伏先を嗅ぎ分けようとするなら、候補地は南方領全土のみならず南方領と隣接する東方領南部にも及び、海沿いのオレンジ農園と簡単に纏めても、全部合わせると三桁に近くなる。
自分達を追うバーデルの軍人達を誘導しつつ越境……なんて危険を犯すのに、匂いだけでは確証が少な過ぎやしないか?
『イオーネは何故、シャムロックの存在をネアウィック村に見出せたのか』
鍵は、王子とハウィスの賭けだ。
多くの嘘に振り回されながらも、シャムロックの行動は総て指輪に帰結し、イオーネとの接点にもなっている。
この賭け、いつから始まってた?
五日前?
違う。その前の深夜と早朝の間にアーレスト神父がブルーローズと接触、協力を請われ、教会と女神像の利用方法を提案してる。
六日……七日前には宣告されていたとしたら。
イオーネ達がネアウィック村へ移動してる頃に、王子がシャムロックを動かす賭けを通じてミートリッテを伯爵の後継に指名した理由。
イオーネが姿を見せているまさに今、王子が多くの騎士を連れて大森林に現れた理由。
それはきっと、『反アルスエルナ派を釣る囮』と『釣れた獲物の回収』だ。
シャムロックの手口を把握していた王子は、出国したばかりの「商人」を狙うバーデルの殺人犯が、ブルーローズの被害者であり、アルスエルナに害意を持つ者であると読んだのだ。
だから、ネアウィック村とシャムロックの情報をイオーネ達が拾えるようにそれとなく流し、アルスエルナ王族の力が利く範囲内に招き寄せて留める『罠』を仕掛けた。
イオーネと最初に会った時『シャムロックはお前達の餌とか盾だと言いたいわけ?』と尋いたミートリッテに、彼女は『いいえ? あいつらにとってはそうでも』と答えた。
実際その通り。
シャムロッ
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