第十章 仮想世界
第8-5話 一方通行と狂三と美九
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、いざ武道館の中に入ろうと思えばあの中に否が応でも行かなければならない。
まさか能力を行使してぶっ飛ばすわけにもいかないし、こればかりは流石に困ったものだ。
一方「……あの女、この俺にこんなことさせておいて変なもん見せたらただじゃ済まねーぞ」
終始頭の中で美九に対しての憤りを感じさせていたが、なんとかそれを沈めて一方通行は人混みの中へと入っていった。
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美九『今日も張り切って行きますよぉ!!』
『おおぉぉぉ!!!』
ライブが始まり、美九が舞台上に姿を表すとマイク片手に観衆に向かって大声で叫んだ。それに答えるように観客も色とりどりに光るサイリウムを片手に叫んだ。
続いて馬鹿でかい音がこの武道館を響かせた。最初は何事かと思ったが、それは前に美九がテレビで歌っていた曲のイントロだった。
それが流れた瞬間、一気に観客がヒートアップし、まるで武道館が揺れるかのような雄叫びを味方にし美九は歌い始めた。
ちなみに一方通行はというと。
一方「…………!?」
一番後ろの方で壁に背を預けて立っていたが、この迫力の前には流石に驚かざるおえなかった。
こんな人がゴミのように集まる場所に自ら赴くことすら初めてだったが、ここにいるだけで胸が苦しくなるのも初めてだった。
まるで酒を飲んで酔ったかのように、少しずつ気分が悪くなっていくのが分かった。
でも。
美九『まだまだこれからですよぉ!!次の曲、ミュージックスタートッ!!』
彼女は堂々としていた。
以前ほどではないとはいえ男嫌いは完全に治ってないはずだ。
女性ファンもいるとはいえ、男ファンの方が圧倒的に多いはずだ。
それこそ、昔なら確実に気分を害して姿を表さなかっただろう。
それでも、彼女は前に進もうとしている。
起こってしまったことは変えられない。
精霊の力を手にして洗脳していたことも、罵倒が怖くてファンから逃げていたことも。
でも彼女はそれを受け止めて、考えて、そして道を切り開いた。
そして今は……
一方「…………本当、忙しい女だなテメェは」
盛り上がる観客のその後ろで。
少年は静かに、舞台上の少女を見守っていた。
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