590部分:第八十五話 八つの封印その一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第八十五話 八つの封印その一
八つの封印
リーヴェのブラックファングはそのままムウに襲い掛かって来ていた。それはまさに暴風を思わせる凄まじい勢いを見せていた。
「さあアリエスよ」
彼はその黒い嵐の中心にいた。
「この攻撃、どうかわされるのです?」
「かわすというのですね」
「違うのですか?」
「何もかわすだけではありません」
ムウは今いるその場所に留まったまま述べるのだった。
「それだけではないのではないでしょうか」
「かわすだけではないと」
「そうです」
まさにそうだというのである。
「それはです」
「弾き返すですか」
ここでリーヴェはまた彼に言ってきた。
「それを考えているのでしょうか」
「クリスタルウォールですか」
「それではないのですか?」
あらためて彼に問うてみせた。
「あれを使うおつもりなのですか?」
「そうだと言えば」
「生憎ですがそれは意味がないと述べておきましょう」
これが今のリーヴェの言葉だった。そのまま数えきれぬだけの黒い刃の中で立っている。その強大な小宇宙をそこに見せながらである。
「それはです」
「無駄だというのですか」
「見るのです」
言いながらふと前に黒い壁を出した。するとだった。
牙がそれを撃っていきそうして。忽ちのうちに砕いてしまったのである。
「壁が」
「これは貴方のクリスタルウォールと同じものです」
壁が砕け散るのを見届けながらの言葉であった。影はガラスの様に砕けそうして消え去っていく。落ちるとそのまま影の如く消え去るのであった。
「それがこうなります」
「その攻撃によってですか」
「そうです。貴方のクリスタルウォールは効きません」
あらためて述べる彼であった。
「それは申し上げておきましょう」
「そうですか。しかしです」
「しかし?」
「クリスタルウォールだけではありません」
ムウも立ったまま言うのであった。
「私の技はです」
「あの水晶の壁ばかりではないと」
「そうです。私の技は二つだけではありません」
あらためて述べるムウだった。
「それは申し上げておきましょう」
「ではその技は一体」
「それを今見せましょう」
こう言ってであった。今四方八方にあるものを出した。それは光り輝く巣だった。蜘蛛の巣を出してそのうえで牙に対してきたのである。
「蜘蛛の巣!?」
「クリスタルネット」
その蜘蛛の巣を見せたうえでの言葉である。
「これならばです」
「私のブラックファングを防ぐと」
「さあ、見るのです」
ムウの言葉は続く。
「この蜘蛛の巣の力を」
「むっ!?」
今まさにその牙達がムウに襲い掛かる。だがその前にいる蜘蛛の巣に捉えられてで
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ