真・魔人-ファウスト・ツヴァイ-part3/相反する力の奇跡
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右手にあるものを取り出した。それはサイトがレイナールを託したときに、彼女のポケットに忍ばせていた、学生手帳だった。それを静かに開くと、手帳の中に一枚の写真が挟んであった。
地球にいた頃、自分と同じ高校に通っていた、学生服姿のサイトだった。
少し恥ずかしい秘密だが、この写真は彼女の宝物なのだ。
学校では、学級委員長とかコーラス部の活動とか、日常の中で立ちはだかる苦労に折れそうになった時、このサイトの写真を見るたびに、勇気がわいて来た。あの時サイトが、恐怖を超えて自分を不良学生から助けてくれたように。そしてこの世界に迷い込んだときも、約束を交わして自分を守ってくれていたように。
今のあたしは……私は…!!
ウルトラマンゼロ…いや…
…平賀才人を……
私たちの大好きな男の子を助けたい!!
すると、ハルナはルイズとムサシの元から立ち上がり、ファウスト・ツヴァイの猛攻を必死に耐えるゼロの姿を凝視しながら、数歩ほど前に出た。
「ハルナちゃん…」
「ハルナ…」
『……』
ムサシは立ち上がってきた彼女の目つきが変わったことに気づいた。あの目には、覚えがある。ムサシも苦境に立たされたときは、あんな感じの目をしていたことを、ムサシの目を通してみていたコスモスも思い出した。
さっきまでの絶望しきったものじゃない。絶対に諦めない。最後の一秒まで…自分のなしたいことをするために。
あたしたちの、私たちの中に眠る力…
…少しだけでも残っているのなら…お願い
もう一度、あたしに…私に…力を!!!!
サイトの写真を挟んだ学生手帳を見つめ、胸の中にそれをぎゅっと抱きしめたハルナ。
そのとき、周囲から見て目を疑うような現象が起きた。
まばゆい光が、ハルナの手帳に灯り始めていたのだ。
「な、何…?」
発破をかけたとはいえ、何が起こったのかわからず、ルイズは目を丸くする。
「これは…希望の光…!?」
ムサシはその光がかつて、地球を宇宙正義の元に消し去ろうとした者たちから地球を守るために戦ったとき、自分がその身に纏った光とよく似ている気がした。
光は、ハルナの手から発光しただけではなかった。
どこからともなく、光が彼女の手帳に集まり、それを介して彼女の全身を星のように輝かせる。
「うああああああああああああああ!!!!」
胸の中に抱きしめた生徒手帳と共に、ハルナは吠えながら光となった。
ファウスト・ツヴァイの最大の光線のチャージは、完了した。後は拳をあわせて闇の波動をぶつければ、虫の息のウルトラマンゼロを抹殺する
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