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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十八話 内乱終結後(その2)
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免です」
フリードリヒ四世がまた笑った。頼むから俺に女を押し付けるな、自分で何とかしてくれ。それにしても貴族ってのは何考えてるんだか……。
「好きな娘でも居るかの?」
「……特にそういうわけでは……」
「ならば予が選んでも問題は有るまい。貴族である事を鼻にかけぬ娘なら良いのじゃな」
いや、その、俺にだって恋愛する権利はあるだろう。好きとは言えなくても気になる女性が居ないわけじゃない。いくらなんでも“この娘と結婚しろ”はちょっと……。大体そんなのは貴族の世界だろう、俺は平民だ。
「不満そうじゃの、恋愛結婚でも望んでおるのか? そちは平民かもしれんが宇宙艦隊司令長官、元帥なのじゃ。そのような事、できると思うか?」
「……」
「これから先はそちに皆が娘を薦めて来るであろう、誰を選ぼうと厄介な事になる。じゃが予が娘を薦めれば皆諦めよう。そちのためでもあるぞ」
「……それは、そうですが」
この爺、結構交渉上手じゃないか。何で皇族なんかに生まれた? フェザーンに生まれていれば財団の一つぐらい作っただろう。フリードリヒ四世がフェザーンの自治領主だったら手強かっただろう。
「ミュッケンベルガーの娘はどうじゃ? そちは親しいそうじゃの」
「……それは」
「予も知っておるが良い娘じゃ、悪くは無いと思うが」
老人、ニヤニヤするのは止めてくれ。どうして年寄りっていうのは若い連中をからかって楽しむのかね。確かに悪くは無いよ、ユスティーナは。しかしね、養父は怖いしそれに向こうは軍の名門だ、ちょっと気が引ける……。ミュッケンベルガーが俺に好意を持っているのは分かっている。だがそれは軍の後継者としてだろう。娘婿としてかどうかは正直疑問だ。大体押し付けられるのは苦手なんだ。
「しかし相手はどう思うか……」
「ミュッケンベルガーも娘も喜んでおったぞ。特に娘がの」
「……はあ」
汚いぞ、老人。外堀は全て埋めた後かよ。俺に拒否できないように持って来る。
「ヴァレンシュタイン、この結婚を拒否する事は許さぬ」
「……」
突然だがフリードリヒ四世は厳しい表情をした、先程までの何処かふざけたような表情は無い。
「貴族が平民であるそちとの結婚を望む、その意味はそちにも分かろう」
「それは……」
貴族とは何よりも遺伝子を、血統を重んじたルドルフによって作られた制度だ。彼らが平民との血の混合を望むなど本来ありえない。
その彼らが平民との結婚を望む、つまり遺伝子、血統の否定だ。脱ルドルフという事に他ならない。
「真の意味で貴族と平民の壁を無くすつもりであれば、血の交流は避けられぬ。避ければ新たな壁が、差別が生ずる。新たな帝国にはそのような壁は不要じゃ。そうであろう」
「それは、……そうです」
ミュッケンベルガー
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