第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
恋姫†無双 〜翼人と恋姫と〜
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まあ、オレの正義もそうだよ。言っちまえば「自己満足」だな」
「それでも伝えることはないと?」
星の言葉になにかおかしなものを見たかのようにくっくっく、と蒔風が笑う。
「あぁすまん。別に馬鹿にしたわけではないんよ。それでも伝えることはあるさ。それは確かだ。ただオレが言っているのは違うんだよ」
「どういうことで?」
「うーん・・・・・・少しだけ長くなるけど、いいか?」
「時間だけはたっぷりありますからな」
「では・・・・・・
最初に言うと、オレには死の恐怖がない。
死を理解してしまったからな。
そこらへんは割愛させてもらうが、まぁそういうことなんだ。
星、戦いの時、お前は死を恐れるか?」
「ふむ?確かに傷や痛み、死ぬことは恐ろしいな。だが私を信じる仲間や国のために戦うのだ。恐怖は乗り越えている」
「そうだろうな。「死ぬのは怖くない」とか、「死を克服した」って奴はゴマンといる。
だけどそいつらは根本的に死の恐怖がないわけじゃない。
揺るぎない信念、絶対の覚悟でそれを乗り越えた強さだ。
だがオレのは違う。
大した信念も覚悟もなく、ある日「死を理解した」というだけでそれを打ち消した男だ。
信念や覚悟、正義を下地に死を乗り越えたんじゃない。
まず最初に死が無く、そこに言い訳するように正義を貼付けただけだ。
自分の自信にはなるさ。
死なない理由くらいには使える。
でもいくらオレが正義を叫んでも、その場しのぎなのさ。
そんなものを、誰かの正義の根幹にさせるわけにはいかない。
そんな薄っぺらいものが誰かの模範になっていいわけがない」
「では・・・・・・あなたは・・・・・」
あなたはそのような状態で世界を守り通して来たのか?
そのような少し揺るがされば簡単にぶれてしまうような心境で?
星は目の前のこの男がとても儚いモノに見えてきた。
今にも消えてしまいそうな今の自分。
世界を幾度も救った世界最強は、誰よりも崩壊しそうな脆い精神を持つ人間だった。
にもかかわらず
彼はいくつものものを背負いすぎている。
負けることの許されない戦い。死。さらにはすべてを理解する狂気と理性。
もしかしたら誰かの死をも背負っているかもしれない。
「・・・・・・・」
蒔風が天を仰ぎ、目を閉じる。
その瞬間、星は想った。
この男を消したくない、と
「舜・・・・・・」
「あん?」
蒔風がなんでもない顔をして振り向くと、星が肩を抱いてきた。
「お主は・・・・消えないでくれ」
「なん
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