プロローグ1 災厄に魅入られし少女
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ネ、艦娘ヤ提督カラハ『防空棲姫』ト呼バレテイルワ」
「『防空棲姫』さん…ですか。私は、黒夢凰香って言います」
「凰香チャンネ。身体ノ具合ハドウ?」
防空棲姫にそう言われてハッとする凰香。なぜ千切れたはずの右腕があるのか?なぜ右腕は異形のものになっているのか?
防空棲姫が体調のことを聞いてきたということは、防空棲姫が凰香に何かをやったのだろう。
すると、防空棲姫が言った。
「アナタハサッキ瀕死ノ重傷ヲ負ッテイタノ。デモ、アナタヲ助ケルノニ必要ナモノガ無カッタ。ダカラ、アナタニ私ノ魂ヲ宿サセテ深海棲艦ニサセルシカ方法ガ無ッタノ」
「じゃあ、今の私は………」
「ソウ、今ノアナタハ半分深海棲艦ヨ。言ウナレバ、『第二ノ防空棲姫』ッテトコロカシラネ。ソシテ今ノ私ハ幽体ヨ。マア、実体化スルコトモデキルケドネ」
「!」
防空棲姫の言葉を聞いた凰香は衝撃を受けてしまう。自分は右腕が治っただけではなく、身体の半分が深海棲艦になってしまっているというのだ。この右腕が凰香が深海棲艦なっているという証拠なのだろう。
凰香は防空棲姫にあることを聞いた。
「あの……他の、皆は………?」
「………ゴメンナサイ。他ノ人ハモウ助ケルコトガデキナカッタノ………」
防空棲姫が悔しそうな表情でそう言った。それは凰香にとって到底受け入れることのできない事実であった。
凰香の両親も、友達の少女も、その少女の両親ももうニ度と会うことができない。凰香はそれを知ってしまった。
防空棲姫からそう聞かされた凰香は両眼からポロポロと涙を流していく。だが、懸命に泣かないようにと我慢する。
すると、防空棲姫が凰香を優しく抱きしめて言った。
「コレカラハ何ガアッテモ、絶対ニ私ガアナタヲ護ルカラ」
「……あ……あぁ……うわぁぁぁぁぁぁん………!」
それを聞いた凰香は我慢することができず、防空棲姫の胸の中で声を上げて泣き叫んだ。
そんな凰香を、防空棲姫は泣き止むまでずっと優しく抱きしめてくれたのだった。
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