583部分:第八十三話 カルカッタにてその七
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第八十三話 カルカッタにてその七
「それで見切ることができます」
そうしてであった。今技を放ったのだった。
「クリスタルウォール!」
ムウの全身をその壁が覆った。そうして。
それは彼等の渾身の攻撃をありのまま弾き返した。そうしてそのうえで他ならぬ彼等自身を打ち、である。吹き飛ばしてしまったのだった。
吹き飛ばされた彼等はそのまま倒れこんだ。致命傷なのは明らかだった。
戦衣は所々砕け傷を負っていた。その中でシゲンが何とか顔を起こして言った。
「まさか我等の力をそのまま使うとは」
「これはそういう技なのです」
ムウは立ったまま静かにそのシゲンに対して述べた。
「技をそのまま返すのです」
「知ってはいたが」
「そうだ、知ってはいた」
メリエルも言った。
「だが。まさかここで使うとはだ」
「思われなかったのですね」
「迂闊だった」
彼等にしてはまさしくであった。
「冷静さを失っていた」
「確かに」
ナルサスも言う。
「その結果か。これは」
「私達の負けね」
「確かに」
サンとレニーも言う。彼女達も致命傷を受け頭からそれぞれ血を流して倒れていた。何とか頭だけをあげてそのうえで言ったのである。
「やはりアリエス」
「格が違うということね」
「それではだ」
最後にメリエルが言ってきた。
「我等の仇はリーヴェ様に討って頂く」
「ルキフグスにですね」
「そうだ。八大公の一人であられるあの方の御力」
彼に対する絶対の信頼が窺える言葉であった。
「とくと味わうがいい」
「それではだ。アリエス」
「冥界で会おう」
最後にこう言って五人は息絶えた。これで彼等とムウの戦いは終わった。
しかしであった。そのムウの前にだ。今度はリーヴェが立っているのであった。
そして彼は。こうムウに対して言ってきた。
「まずはお見事でした」
「彼等との戦いですね」
「そうです」
まさにその戦いのことだった。
「アリエス、教皇の直弟子だけはありますね」
「それは関係はないと思いますが」
「いえ、かつてのアリエスのシオンを彷彿とさせます」
少なくともそれだけのものがあるというのである。
「それはです」
「そうなのですか」
「しかしです」
ここで彼の言葉の色が変わってきたのだった。
「その仇は取らせてもらいます」
「それはですか」
「そうです」
まさにその通りだというのであった。
「私もまた狂闘士、しかも八大公の一人です」
「同胞の仇は何としても取ると」
「そういうことです。宜しいですね」
「いいでしょう」
ムウもまたそれを受けて述べた。
「それではです。ルキフグスよ」
「はい、それではです」
「闘うとしましょう」
それぞれ小宇宙を
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