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提督はBarにいる。
鰻はとかく難しい
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らない。まぁ、蒲焼きにするなら気にならなくなるからな。後は頭を落として、表面に付いた血液を水道水で洗い流せば完成。二人からはおお〜…と、感嘆の拍手が起こる。コイツを食べやすいように半分に切って鉄串を売ったら、焼きに入る。



 鰻の蒲焼きの調理スタイルは、大きく分けて三通りに分類される。関東風、関西風、九州風だ。

 関東風は背開きで焼き、途中から蒸してふっくらと仕上げるのが特徴。関西風は蒸さずにこんがりと焼くだけで火を通す(地焼き)。主流は腹開き。九州風は背開きで地焼きで仕上げる。それぞれにいい所があるのだが、個人的には皮の香ばしさが味わえるから関西風よりの焼き方の方が好みだな。今回は背開きでやってるから九州風だけど。

 ガスコンロに火を点けて皮目から焼いていく。焼き加減を見ながら、盛り付けの支度も同時進行でしていく。きゅうりを半分、青じそを10枚、三つ葉を1/2束、しば漬けを適量。きゅうりを輪切り、三つ葉は1cmの長さで刻み、青じそとしば漬けは粗微塵に刻んでおく。鰻の香りが立ってきた、そろそろ返し時か。

 クルリと表裏を返して、身の方を焼いていく。その間に皮目に刷毛でタレを塗る。今回は市販の鰻のタレ。甘辛く香ばしい香りが立ち込める。グウゥ…と腹の虫が鳴いた。どちらだろうかと顔を見ると、真っ赤になった神通がそっぽむいていた。バレバレだっての、可愛いなぁもう。

「でも珍しいなぁ。神通と夕立って組み合わせは。」

「今日は夕立も非番だったから、神通さんに組み手の相手を頼まれたっぽい。だから、今日は一緒に来たの。」

 成る程、神通が鍛練に熱を上げたのはそういうワケか。しかし軽巡と駆逐艦の最強火力の激突か。さぞ見応えのある試合だったろう。

「でも夕立ちゃん凄かったです。危うく負けてしまう所でした。」

「え〜?だって結局4勝6敗で負け越したっぽい。」

 いやいや、それ十分凄いから。鬼教官て呼ばれてる神通に4回土付けてる時点で凄すぎるから。

 そんな会話をしている内に、そろそろ鰻も具合が良さそうだ。ならばそろそろ仕上げだな。俺はご飯を大皿に盛り、そこに酢1/4カップ、砂糖大さじ1、塩小さじ1/2を合わせたなんちゃってすし酢を全体に回しかける。酢飯っぽくするなら混ぜながらの方が良いんだろうが、わざとムラを作って味の差異を作った方が飽きずに食べられる。

 出来た酢飯に輪切りのきゅうりを散らしたら、焼き上がった蒲焼きを縦半分に切ってから1cm幅に切って全体に散らす。青じそ、三つ葉も散らしたら、最後にしば漬けと山椒の実の佃煮を散らす。これがピリッといいアクセントなんだ。

「さぁ出来たぞ、『鰻のちらし寿司』だ。二人で取り分けて食べな。」

 俺はそう言いながら、とっておいた肝に串を打ち、コンロで炙
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