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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
ブリューヌ・ジスタート転覆計画編
第14話『還らぬ者への鎮魂歌〜新たな戦乱を紡ぐ前奏曲』
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正体は『螺旋銃(ライフル)』といえたのだが、この大陸の人間には未知の概念であるため、『火を噴く鉄の槍』と表現するしかなかった。

「こちらに撤退する隙さえ与えない気か!……」

「だが……我々は……!」

「戦う意思だけでは……どうにもならないのか!?」

ジェラール、オージェ、マスハスは、リムと同じように歯噛みしている。得体の知れない兵器の前に、リム達は背後からじわじわと死神の鎌が差し迫るのを感じ取っていた。瞬間と瞬間が交錯する中、戦況はより一層泥沼化する。
人が持つ天譜の才の一つ『神算』の持ち主であるジェラールには、なぜ撤退する隙が無いかを理解していた。背中を見せた瞬間、針の穴よりも小さな隙を、テナルディエ軍『銀の逆星軍(シルヴリーティオ)』は狙い撃つに違いない。
できる事があるとすれば、交戦しつつ徐々に後退するしかない。だが、それも時間の問題だ。
銀の流星軍(シルヴミーティオ)の前面に、静かに剣と弓と槍の迎撃をかいくぐってきた『鉛玉を絶え間なく撃つ乳母車』の一小隊が肉薄する!

逆星は流星に『王手』をかけた。もう銀の流星軍に応手はない。『詰み』だった。

「「「「「―――――――!!!!!」」」」」

『流星』の空気が……凍り付いた!

リムアリーシャが、エレンの姿を思い出そうとするかのように、悔しながら目を閉じ――

ルーリックが、ティグルの姿を思い出そうとするかのように、頑なに目を閉じ――

ジェラールは信じがたいといった表情で、目を見開く。

そして、マスハスはティグルを守り切れなかった悔しさから、亡き友のウルスを浮かべ、視界越しに敵を睨みつけた。

銀の将星達の視界の中で、『逆星』が銃口を向ける。

――これまでの道のりが――

――これから歩み出す道のりが――

――これより向かう未来の道が――

リムの頭を一瞬にして通り過ぎ、一連の楽譜となって彼女の意識を駆け巡る。
ブリューヌ内乱をあれほど苦労して、多くの勇敢な兵の犠牲を払って、戦楽譜の末にたどり着いた終止符(ピリオド)が『鉛玉を受け止めるマト』としての死か。
ここまで自分やエレンについてきた兵達に申し訳なくなる。エレンは捕虜にされ、自分たち銀の流星軍は、戦姫を奪還するどころか、徐々にブリューヌ領土の末端隅(ディナント)へ追いやられていく。
銀の逆星軍にとって、これは『掃討戦』だ。もはやそれは『火を噴く鉄の槍』ではなく『火を噴く箒』なのかもしれない。奴らにとって(ほこり)を部屋の隅へ追いやる、日常の掃除間隔でしかないのだろう。

「これで、終わり……」

一人残らず死なせてしまうのか?もう、エレンの事すらも思い出せなくなるのか?

「……!!!」

恐怖。後悔。懺悔。そのような自責の念に駆られ
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