ブリューヌ・ジスタート転覆計画編
第14話『還らぬ者への鎮魂歌〜新たな戦乱を紡ぐ前奏曲』
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いうより、確認に近い質問だった。以前、ティッタを魔物から守り抜いた青年のままでいると信じている。
すると青年は、初老の人物に澄んだ声を投げかける。
「……俺が……そうしたかったからです」
険しい顔をして、凱はみんなを見渡す。
「みんな、俺に全部教えてくれ。いつ……なにが……誰が……なぜ……どのように……以前のディナントの戦いから今に至る全てを」
凱がここまで明確に聞きたがる理由。この混迷たる時代の中で、この銀閃を、どのようにして振るうべきか、それを間違えてはならない。
この竜具で、皆が望む未来を描くために――
リムが切り出して、マスハスが補足して、ルーリックがつけ足して、ジェラールが核心をついて、再びそれぞれが一部詳細を語る。
そして紡がれる今……今という時間は『演奏終了』の延長上。それこそが、『原点回帰詩』へと輪廻する一面の楽譜となって、歴史を正しく導く追想曲となることも。
英雄へと続く伝説の序章曲。そして、勇者から紡がれる最終楽章となることも。
――全ては『治水』を巡るディナントの戦いから始まり――
――そして『銃火』が招くディナントの戦いへと至る――
◇◇◇◇◇
全てを聞き終えた凱は、幕舎を後にした。リムの指示によって銀の流星軍はしばらく休息となる。
戦姫不在のままではライトメリッツに戻れない。余計な混乱が国内へ飛び火し、戦姫が敗北したという報が漏れれば、各国の侵略を許してしまうからだ。そうなれば、アスヴァールを警戒するレグニーツァやルヴーシュが危険の渦中に晒される。特に海賊たちが戦姫陥落を知ってつけあがるに違いない。
レグニーツァは、エレンにとって恩師のいる地だ。その主は現在病に侵されており、自力で歩くことすらままならない状態だ。以前ボロスローの戦いで雷禍の閃姫を退けたばかりではないか。悪報による余計な心労で病を悪化させたくない。
今後の状況を見極めるにせよ、今すぐ行動するにせよ、疲労の濃い状態ではどちらにしても、何もできないのが現状だ。
とりあえず4日間。その間に斥候を何度か放ち、新たな情報次第では、どうするか考える。
その間に獅子王凱は、『用事』を済ませることにした。
(アリファールが訴えている?……ルヴーシュのバーバ・ヤガーの神殿へ行けと?)
ただの……竜具の訴えではない。何か、共鳴に誓いモノを感じる。
(まさか……ティナのエザンディスと反応しているのか?それとも……ルヴーシュの戦姫か?)
竜具とGストーンの共鳴作用が、より明確な意思となって、凱の意志に語り掛ける。
確信はある。竜具に意志はある。そして、竜具は主を偽らない。ましてや、承諾主である獅
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