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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
ブリューヌ・ジスタート転覆計画編
第14話『還らぬ者への鎮魂歌〜新たな戦乱を紡ぐ前奏曲』
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合いだ。だから、リムは凱から敬称で呼ばれないのもさほど不自然ではなかった。
むしろそうであってほしい。

問いかけられて、初めて『これから』の事が意識されてきたようだ。皆は苦い顔になる。
そんな中、ルーリックが感情的になって宣言した。

「戦姫様達と、ティグルヴルムド卿の救出!それ以外にありません!」

「その為に『どうするんですか?』か、と、ガイ殿は聞いているのです。禿頭のブリューヌ人」

「だから!!……」

そこでルーリックは言葉に詰まる。それは誰もが共通の仕草だった。
まず、『銃』に対して何の対策もとれない。リムは一時、その特性から混戦や白兵戦に持ち込もうとしたが、見破られた。敵は『銃』の特性と弱点を知り尽くしている。そのうえで運用をしているから、突撃力に優れる銀の流星軍は敗北したではないか。まして、一騎当千の戦姫が二人も『生け捕り』に――
次に、自軍の『士気』だ。騎士団を虫ケラのように蹴散らした、あのような兵器を目の当たりにして、果たして恐怖は拭えるだろうか?盾と甲冑をまとめて貫く、常軌を逸した筒を相手に。
無策のまま兵を犠牲にする命令は、指揮官として愚の骨頂だ。『散れ』と『戦え』は同等なはずがない。その事は凱が『損耗率』の話で触れていたではないか。
兵達の『士気』がなければ、大将の『指揮』など意味を成さない。少し間をおいて、リムは何かを決意したかのように、言葉を紡いだ。

(……兵全体に、伝えなければなりませんね)

それは、一部の兵に隠している『戦姫の不在』を覚悟を決めて公開するのと、これから兵が戦うにあたる『命令ではなく理由』を問う……だという事を。
言葉に行き詰った空気を払うかのように、ジェラールが凱に問う。

「一つ……教えてもらえますか?ガイ殿」

唐突に切り開いたのは、ジェラールだった。
この禿頭人間や自分の父のように、気を許しているわけではない。だが、一緒にいる以上はディナントの戦いで魅せた『竜の技』を当てにしたいのも事実。絶望的な状況を打破するには、何より、力には力で対抗するのが常套だ。

「単刀直入にお尋ねします。あなたは私たちの『敵』ですか?『味方』ですか?どういうつもりで我々のところへ駆けつけたのですか?」

質疑の嵐に、凱ではなくルーリックが反論する。

「貴様!何を今さら言っているんだ!?味方に決まっているだろうが!現にこうしてディナントの戦いへ駆けつけてくれたではないか!」

「私はあなた方が思うようにこの人を信頼しているわけではありません。いいですか。ガイ殿」

オージェが眉を潜めた。対する凱はジェラールの視線を受け止めている。

「シシオウ=ガイ。あなたは異端認定を受けながら、我が国の大貴族、ガヌロン公爵に対して魔物呼ばわりして大喧嘩を売っ
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