ブリューヌ・ジスタート転覆計画編
第14話『還らぬ者への鎮魂歌〜新たな戦乱を紡ぐ前奏曲』
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合能力を応用した竜具一体の技術だ。
凱は自身の発言を思い出す。
――AIとの親和性?イヤだなぁ。俺はただ、あいつらをただの機械や道具扱いしたくなかっただけだよ。俺達と一緒に、このプロジェクトを成功させたいと思っている仲間さ――
ずっと昔、宇宙飛行士時代において、凱のこんなコメントを報道されたときは、世代論で武装した旧守派からの批判が殺到した。実感のない言葉だけで、宇宙観測プロジェクトの成果など上がるはずがないと。だが、これが後に『機動部隊の竜機達』に慕われる力として、いかんなく発揮されることとなる。
――俺はアリファールを、ただの竜の道具と思っていない。なぜなら、アリファールに意思があり、心があるからだ。だから俺は、アリファールを一人の人間だと思っている。俺はそう信じている!――
そして今、凱のこのような感想がジスタートの戦姫に報じられれば、避難の嵐が凱を蹂躙するに違いない。竜具が人を選ぶ理由は不明確だからいい。だが、その程度の心構えで竜の技術が上がるはずがない。我等の努力を何だと思っていると――
飾り気のない凱の本質。それこそが竜機の人格、超AIに慕われて――
何より、竜具の人格、竜の意志に慕われやすい性格は遺憾なく発揮されている――
◇◇◇◇◇
飛竜より高く飛翔した凱は、自分の内蔵の収縮具合でこのあたりが『大気圏』の境界線直下だと判断した。生身で初めて飛翔した体験に、凱は僅かながらアリファールの性能に驚いていた。対してアリファールも、凱の肉体に神秘性と可能性を感じていた。
普通の人間ならば、急激な『風影』による飛翔で、肺の中の空気が一気に膨張して生命を落とす。歴代の戦姫はみなそうだった。故に大気圏へ挑む『銀閃の風姫』はいても、それを達成した『銀翼の勇者』はいなかった。
だが、生機融合超越体の心肺機能は、強靭な内蔵繊維と特殊機構で大気圧の激差を解消し、凱に全くの苦悶をもたらさなかった。
そして、アリファールは凱の意識に訴える。あそこへ行って!と――
「ディナント平原?もしかして、みんなはそこで戦っているのか!?」
子供が手を引っ張るような感覚で、アリファールは凱の手を介して心に願う。
ここで自分が向かうべき場所を読み間違えてしまったら、アリファールの努力が水の泡となる。
それでも、凱は頭の中で素早く『ディナント平原へ突入する為の軌道計算』を終えていた。人が持つ天賦の才『神算』の力ではない。宇宙飛行士時代から培われた、たゆまない努力の訓練によるものだ。
(飛翔姿勢で使っていた風の力を重力落下のベクトルに加えれば、指向性を持った自由落下で目的地
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