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星がこぼれる音を聞いたから
11. 紳士と淑女と親友と妖怪
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音が聞こえていた。

 その音だ。その音を聞いたから、俺は隼鷹と結ばれた。星がこぼれる音を彼女のそばで聞きたいから、俺は何度でも本音をこぼすんだ。何度でも、彼女に本音を伝えるんだ。

 隼鷹に見送られ、俺は正門へと走る。正門を視界に捉え、あと数メートルという所まで来た時。すでに球磨はその床屋の店長と接触していたらしく……

『うおッ!?』
『覚悟するクマ不審者ぁぁああああアアアッ!!!』

 という、考えうる限り最悪の叫びが聞こえてきた。球磨は床屋の店長を一本背負いで倒した後、その腹にコークスクリューパンチを突き刺すという、オーバーキルもいいとこの過剰防衛を働いていた。……いや彼は襲いかかってはいないはずだから、単なる暴行だ。

「コラーッ!! 球磨! その人は……」

 俺は急いで、今日来る予定だった床屋と思われる男と、球磨の元へと走った。

「……今日来る予定の!! 床屋さんだー!!!」
「クマッ!?」

 現場に到着した俺が見た光景……それは、球磨にコークスクリューパンチを突き刺されて、ピクピクと痙攣しながら泡を吹いて気絶している床屋の店長――後に俺の親友になってくれる男――と、その店長に『妖怪アホ毛女』と揶揄されることになる球磨の、青ざめた姿だった。



『鎮守府の床屋』へつづく


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