10. 酒と星
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そうな彼女の顔は、本当に綺麗だった。
「……提督ならきっと、もっとうまく作る」
「?」
「あんたなら、もっと美味しくてあたしが好きになりそうなパンプキンパイを作ってくれる……あの店主のパンプキンパイを口に入れた途端、そう思ったから……かな?」
こちらを振り返り、ニコッと笑ってそう答える隼鷹のほっぺたは、さっきまでよりも赤い。それが酒のせいなのか、それとも恥ずかしさからなのかは俺もわからないけれど。
頬杖をしている隼鷹の左手の薬指には、あの指輪が輝いている。俺の耳に星が輝く音を届けてくれるそいつが、俺の目を離さない。
キラキラという、星がこぼれる音が鳴った。
「……隼鷹」
「んー?」
……よし。言う。
「指輪外してくれ」
「へ? なんで?」
「いいから。外したら俺に貸してくれ」
「いいけど……」
口では『いいけど』といいながらも腑に落ちない顔をした隼鷹は、頭の上にぐるぐる線を作りながら指輪を外し、『ほら』と言いながら俺に渡してきた。
「うん。ありがと」
「なにすんの?」
「左手、出して」
「……?」
真っ赤な顔を横に傾け、きょとんとした顔で俺を見ながら、隼鷹はしずしずと俺に左手を差し出してきた。差し出された左手はとてもしなやかで綺麗だが……やっぱりこの指輪がついてないと、少し物足りない。
「……一回目は、店主のいたずらに流されてだった。晩餐会のためって理由だった」
「?」
「二回目は、お前に催促されてだった」
分かるはずだ。俺とずっと一緒に過ごしてきたお前なら、俺が何を言っているか……何をしようとしているのか分かるはずだ。
――……あたしでよかったの?
こう聞いてたよな? ……今から答えてやる。
「だから三回目は、ちゃんと俺の意思で、お前の薬指に指輪を通す」
「……え」
「俺は自分の意思で、お前の薬指にこの指輪を通す……この意味は分かるか」
「……」
今まで以上に顔を真っ赤にした隼鷹が、恥ずかしそうに口をむにむにと動かしたあと、俺から視線を外して顔を真っ赤にしてうつむいた。俺に左手を取られたまま、微動だにせず、ただ俯いている。
「……」
「……」
「……」
「……」
あれ……隼鷹からの返事を待ってるんだけど……
「……」
「……」
「……」
「……つまり平べったく言うと、けっこ」
「平べったく言いなおさなくていいッ!!」
うつむいたまま突然大きな声を出されるから、すごいびっくりしたー……
「お、おう」
「……」
「……」
「……ていとく」
「ん?」
相変わらず隼鷹はうつむいてるから、どんな顔をしているのか俺からは見えない。見えないが、テーブルの上には、星のよ
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