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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#31
ETERNAL PUNISHMENTV〜Distortion Despair〜
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そのスペシャリストである自分こそが、最も必要とされるべき存在。
 禁忌の力を使用した男に、微塵の罪悪感も、背徳感すらなかった。
 ただ裡で膨れあがる狂信のみが男の愉悦を深めていた。


――某国、戦乱の混沌吹き止まぬ秩序無き地下で、“ソレ” は生まれた。
 国際法、ジュネーヴ議定書で開発が禁止されているにも関わらず、
その抑止が及ばぬ場所で人間の悪意は(とど)まらない。
 暴動の鎮圧、他国への牽制、秘匿流通による国益等の為に開発を進められていた
『生物兵器』 だが、ある機を境にソレは 「暴走」 を始めた。
 人も、ソレそのものも。
 製造が比較的容易である事と廉価なコスト、
及び隠蔽の手軽さで量産されてきた銀色の弾筒(カプセル)
 その中に、ある日悪魔そのものとしか呼べない変異体が出現した。
 着弾までの発生を抑える為に封入された、
無色透明のガスを紫色に染めた事から
忌むべきその名を 『パープル・ヘイズ』 
 更にその次世代種、“(ディストーション) 型” の発現により事態は急転を余儀なくされた。
 元々兵器であるため獰猛な種類のウィルスを素体としていたが、
新たに生まれたウィルスはその獰猛性が極限まで行き着き
ウィルス同士が 『共喰(ともぐ)い』 を引き起こすまでに成長してしまったのだ。
 自軍、否、自国にまで及ぶ無差別な殺傷力、ワクチン精製の不可、
何より制御不能の不確定要素が多過ぎる危険性。
 以上の理由により極秘裏に進められたプロジェクトは凍結され、
然る後その存在ごと闇に葬られた。
 国の中枢を担う者達の間でも、ソレを語る事は禁句(タブー)とされた。
 人間の悪意そのままに生み出され、存在も明かされぬまま消失したウィルス。
 その処分を担当した科学者の一人が何者かに銃殺され、
カプセルが強奪された事実を知る者は少ない。
 破壊された監視カメラに代わり科学者の網膜から再現(トレース)された映像。
 画像は不鮮明だったが、闇の中でも不気味に光る、
猛禽のような眼をした男だったという。





――人類が、異種に怯える時代は終焉(オワリ)を告げた。
際限なく膨らむ人間の 【悪意】 は、その存在すら知らぬまま
異界の住人をも駆逐出来る段階にまで到達してしまった――





『殺人ウィルス』 バイオ()セーフティー()レベル()5を優に振り切る
悪魔の遺伝子群(デビル・スウォーム)は、およそありとあらゆる生物、
生きとし生けるモノ、細胞を持ったスベテの有機体の存在を赦さなかった。
「がはぁッッ!!」
 トーガの中、1000n m(ナノメートル)より遙かに小さい微細なウィルス群が、
炎気の粒子と粒子の隙間を互いに相食みな
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