第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#31
ETERNAL PUNISHMENTV〜Distortion Despair〜
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
最早、二十秒かからないだろう。
『狙撃』 は、距離が縮まれば縮まるほど命中率が上がると素人は考えがちだが、
実際はかかる 「空気抵抗」 の量がまるで違うため
至近距離でもない限り難度はさほど変わらない。
何より長所と短所は表裏一体、
遠隔狙撃は 「遠隔」 だからこそ意味があるのであり、
近距離に入り込まれるとその射程の長さ故に小回りが利かない。
ライフル弾は通用しない、バスーカ砲、グレネード弾、ロケット砲の類は
(スタンドが空気の振動で)聴いた限り確実には仕留められない。
近距離用の武器もあるにはあるがあくまで対人用、
人間ではないアノ女に致命傷は与えられない。
この間僅か0,5秒。論理の枠を超えた思考能力を持っているのは
ジョンガリ・Aも同じ。
なれば、と、闇の鷹の口唇がより冷酷に歪む。
兵器に魅せられた者は、その威力の残虐さに戦慄するより陶酔を覚える。
ソレが使用される事によって生まれる絶望を想起するより
ソレが使われる混沌こそを希望する。
善悪の概念のない、DIOに対する狂信しかないこの男にとっては、
近づかれてマズイというよりよくここまで「近づいてくれた」
という心境なのだろう。
『コレを遣わざる負えないほどまでに』
追い詰めてくれた事に対する感謝さえ在ったのだろう。
愛銃である『SIG S 205PHANTOM』
銃床部に装着されたM203 (擲弾発射器)
その裡に潜む悪夢の兵器を、『記録上』 知り得る者はこの世にいない。
「発 射―――――――――――――ッッ!!」
待ちに待ちかねたといった様子で闇の鷹は一切の躊躇いなく
コッキングレバーを引き、禁断の銃爪を弾いた。
慮外に静寂な音、しかしそれが死神の囁きを想わせる残響を以て
銀色の弾筒は射出された。
被甲の薄い、しかしその硬度と靱性は最大の厳重さを保って、
中の 「物質」 が絶対外に漏れないように、
しかし敵陣に到達したその時には速やかに剥き出しとなるよう
設計された悪魔の造型。
「――ッ!」
正確な照準、しかしマンハッタン・トランスファーを介していないので
マージョリー (及び花京院は) 余裕充分に躱す。
爆発せず衝撃のみで砕けた屋上のコンクリート、
当然二の撃を踏まえたフェイントだと炎獣は迎撃の構えを執る。
しかし静寂、無動の沈黙、前方からの視線は感じるが
殺気がまるで伝わってこない。
どういう事だ? こっちの疑心を煽って困惑を誘う駆け引きか? なら遠慮なく。
再び足下を蹴って飛翔を試みるトーガの視界が、グラリと大きくブレた。
「え――?」
今まで一度も逆らった事のない、従順な下僕突
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ