暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
閣下のお散歩
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りどりのオレンジやアップル(に見える何か)が転々と転がっていく様は、端から見ればホームドラマ級に面白くなくもないが、加害者側から見ると痛ましくて仕方がない。

矢がそのまま刺さっているようにピンと張っていた脚が、しんなりして地面につく前に駆け寄ったヴォルティスが華奢な足首を掴んで引き抜こうとした。

ばきゃっ、と。

変な音がした。

「…………………」

音の音源は、フルーツが積まれていた木箱のほう。

どうやらズレないように地面に直接固定するタイプのアイテムだったらしいのだが、そもそもの箱の底部が布がやぶけたように引き千切れていた。

そして、パンパンに中身が詰まった箱の底がなくなったらどうなるか。

答えは自明。


ざらざらごろごろごんごんざ――――ッ!


カラフリーな果物が木箱という立方体のくびきから脱し、大通りの一角を占領する勢いで広がる音が、響き渡る。

あまりの光景に通行人が立ち止まる中、閣下は静かに嘆息して店主である壮年のNPCに首を巡らせた。

こんな事態を想定した動作(リアクション)など組み込まれていない。そのはずなのに、ヴォルティスには、男の目元が怒りを堪えるように痙攣したように見えた。










「ふむ、ロベリア……か。良い名だ」

「ありがと。んで、えーと、ヴォル…ティス?だっけ。アンタはどーしてまだ付いてくるの?」

「我はあまりログインできていなくてな。正直、新しくできたこの街のマップも、あまり頭の中に入っていないのだ。案内してくれると助かるのだが。…………できれば、あまり人に見つからないような裏道だと助かる」

「図々しい上に後半が変質者チックだなオイ!人に見つからない脇道案内させてナニする気だマッチョ野郎!!」

噛みつくように叫ぶ、ネコミミ付きのニット帽を被った少女を見下ろしながらヴォルティス卿は首を傾げた。

―――むぅ、ロベリアはいったい何に怒りを覚えたのだろうか。

恐らく脳筋には一生答えの出せない命題に偉丈夫が悶々としている間に、小柄なケットシーは腕を組みながらぷりぷり怒っていた。

「まったく、気が付いたら吹っ飛ばされるわ、果物の塊にブッ刺さるわ、そんで助けようとしたバカが零した果物拾いをさせられるわ。……割とキレていいラインナップよね、これ」

「すまない」

「もーいいわよ。てか隙あらば土下座しようとすんな!暑ッ苦しいのよソレ!!」

「む、これがジャパニーズハラキリに続く日本古来からの謝罪方法だと、我のギルドメンバーが言っていたのだがな……」

「道端でンなことしてたら不審者一直線でしょーが!」

ええい調子が狂うフィーと同じ天然の匂いがする、と頭を抱えて呻く少女から目線を
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