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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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に倒されている状況だ。
「(加速魔法も使ってこない、のは当然として、その上でこれか……)」
基礎ポテンシャルが恐ろしいレベルで高い、それは認めざるを得ない事実だった。自分にはない才能だ。だが、それでも加速を封じられた事、そしてそれを逆手に取って一撃与えられたのは大きい。
「(いっそ、冷静さを欠いてそのまま加速に頼ってくれたら楽だったんだけど)」
せっかく切り札の一つを使ったのだから、とクレヴァーは内心でひとりごちる。
クラナの加速を全く逆の性質にした魔法は、《ユートピア》という彼の切り札となる魔法の一つだ。ディストピアの術式介入を改変した魔法で、対象の術式に刻まれている魔法の性質の一つを反転させることが出来るという魔法である。一度に一つの術式に対してしか使えない為使いどころを選ぶが、はまればこれ以上ないほどの効果を発揮してくれるシーンも多い。
「(ただ、相手が加速を使ってくれないと今は成立しない……)」
別の魔法に対して使用するんでも悪くはないが、ユートピアの対象術式を切り替えるのには少し時間的ラグがある上、その切り替え期間中、自分は一瞬ディストピアを使えなくなってしまう。相手の加速魔法が「時間的猶予を引き延ばす魔法」である以上、そこに気が付かれるリスクは避けなければならない。となると……
「(そろそろ、次の手を打とうかな……)」
そう考えて、彼は移動を始めた。
────
「(どこ、だっ!?)」
正面から来たクレヴァーの一撃かがんで躱しながら突撃し、拳を振るう。はずれだが、そんなことは分かっている。これで残り六体。ただ、その六体に本物が居るかどうかは分からない。距離を取りつつ慎重に攻めてきていることからも、相手はこちらを消耗させたいらしい事がうかがえるし、このラウンドでどこまで攻めてくるつもりなのか、まだ測りかねているのが実情だ。ただ、少しずつ分かってきたこともある。
先ず、相手の決め技である「スティングレイ」この術は、一度に一発以上飛んでこない。ミスリードの可能性はあるが、複数打てるのならば、すでに撃つべき状況は何度もあった。それらを全て見逃してまでミスリードをする理由が分からない。
また、幻影は基本的に、本体と見分けをつけさせないためにその本体と同じ程度の身体能力を持たせるのが一般的なのだが、その流れにならうならばクレヴァー・レイリ―本人の身体能力は決して高くない。これもミスリードの可能性はあるが、学校のフィジカルテストでも、ここ数年間クレヴァーが目立った話題に上ってきた覚えはない。少なくとも、完全な格闘戦に持ち込めれば勝ち目はあるはずだ。
「(まぁ、そうさせないのが相手の戦術みたいだけどっ!!)」
後方から来た一撃をステップで躱して打ち返そうとしたところを、右から来た別のクレヴァーに狙わて、さ
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