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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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論はすなわち……

『通常の物理法則速度が等速である以上、相棒の認識能力が減速している、というわけですか』
『そう言うこと』
『しかしそうだとして相棒、何故加速の解除を?』
『……正直勘だったんだけど、多分こっちの加速を、逆手に取られてる……』
『!?術式に干渉されているということですか!?』
『うん』
多分そうだ、というよりは、それ以外の方法が思い浮かばないのだ。自分が知らないだけかもしれないが、外部から直接相手の思考クロックや動作速度に対して干渉する魔法など聞いたことが無い。精々視覚、聴覚の認識能力対する干渉までが、幻影魔法の限界の筈だし、そうでないならとっくの昔にティアナ辺りがやっているだろう。

『だから多分、こっちの加速魔法を逆手に取って、何かしらの魔法で術式に干渉して性質を逆にしたんだろうね』
『加速のつもりが、減速魔法にされてしまった、と?しかし相棒、それでは……』
『…………』
黙り込んだクラナが構えなおす、再びクラナの周囲に、クレヴァーの生み出した幻影が現れる、その数は、8体。

「(キツイな……)」
クラナの頬に、冷たい汗が一筋流れていた。

────

「クラナ先輩……」
「さっきの一撃がいてーな、あれで結構差ぁつけられてる」
「はい……それに相手の、クレヴァーさんの戦術も、よくわからないですし……」
「ライノ先輩、さっきのあれって?」
「ん?あぁ」
リオの問いに、ライノは鼻を鳴らして一つ唸る。観客席にいる彼らから見ていた試合は、なんというか、実に奇妙な物だった。接近していくクレヴァーに対して、クラナがやたらと緩慢な動きで対応し、本来なら十分余裕を持って対処できる攻撃を、ぎりぎりの動きで回避するのだ。最初は何をしているのかと疑問だったが、突然元の動きに戻ったクラナから慌てたようにクレヴァーが距離を取るのを見ると、何かしらの魔法による仕掛けがあったのだという事を理解できた。

「予想だが、彼奴の魔法だ。彼奴の持ちもんの一つが結界魔法でな、一定領域内での魔法術式の使用に、ある種の制限を付与できるっつーもんなんだわ」
「他人の術式に干渉できる魔法って、そんなのあるんですか!?」
「対象の術式が詳細に分かってねぇと、本来は成立しねーんだけどな。それが出来るレアスキルを彼奴は持ってる。解析者(オブザーバー)っつってな。なんでも、相手の魔法の発動を見てると、その術式がどんなもんか、だんだん分かるんだと。で、それで解析した術式を結界の中で使えないようにするらしい。なんつったかな……そうだ、《ディストピア》っていう結界魔法なんだとさ」
自由のない世界(ディストピア)……」
なんとも珍しい魔法を知ってか、あるいはそのたぐい希な効果に対してか、コロナが慄いたようにその名を繰り返す。


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