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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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「うぅん……」
実際、初対面の人間にこれほど話したのは初めてだったのだ。それほどに、ライノとの話は楽しすぎたというだけで。

「そっれにしてもお前、それだけ戦闘に対する知識も考え方もあるのに、魔法戦競技とか、そういうのに出ないのかよ?」
「ぼ、僕は……」
運動が苦手だから、そう言いかけて、言葉に詰まった。本当は、そうではない、あの同級生たちに言われた、「無理だ」という言葉、あの時受けた針がまだ胸の内に突き刺さっていて、だから怖いのだ。夢を追いかけ、それが真実であると証明されることが。

「……ライノ、聞いて、良いかな?」
「ん?おう、俺ばっか聞いたら不公平だしな。なんでも聞いていいぞ、一部の女子のバストのサイズまでなら答えてやる」
[最悪ですマスター直ちにその辺りの河原に飛び込んで二度と浮かび上がってこないでください。大丈夫です、私がナビゲートいたします。ここから北西200mの距離にちょうど……]
「すみませんウォーロックさん物騒なナビゲートやめてもらっていいっすか!?」
自分のデバイスに向けてパニクったように答え、ため息をついてから自分を見下ろすライノを見上げて、クレヴァーははっきりと聞いた。

「それで?」
「うん、その……運動が苦手でも、頭脳戦だけでも……IMで、勝ち上がれるかな……?」
「ん?知らん」
「……えっ?」
あるいは、「無理だ」と言われるのかもしれないと思っていた。トップファイターである彼にそう言われるならば、諦めてしまおうとも思っていた。しかし……

「頭脳戦だけって男子の部じゃ見た事ねーけど、見た事ねー例の事なんぞ分かんねーし、誰かがやってみないことにゃーなんともいえねーわな。だから知らん。すまん、なんか大事な問いだったか?これ」
「……う、うぅん、そう、だよね……誰もしたことないなら……」
当然、答えなど分かるわけがない、何しろ前例がないのだから。誰もしたことが無いのだから。誰もしたことがない事は……

「無理って、事じゃないよね……」
すなわち、「不可能」ということではない。

「?そりゃそうだろ。なんだ?そうするのか?」
「えっ?あ、うん……できたら……僕は、運動苦手だから……」
うつむいてそういいかけた直後──

「そうか、“頑張れよ”」
「…………ッ!」
何気なくライノが言った言葉に、クレヴァーは目を見開いた。初めてだった、初めて、彼は自分の夢に「応援」をもらった。誰も、同級生はおろか、教師も、親でさえも、自分の夢に「頑張れ」なんていってくれたことはなかった。誰もが、嘲りで、困惑で、心配で、自分の夢に「不可能」という言葉を押し付けようとしたのに……

「?おいおい、お前……泣いてんのか?」
「ッ……ごめんっ……ちょっと……ごめんっ……!!」
ぬぐった涙が
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