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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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胸が締め付けられた、だから言い返すことも出来ない自分が居て情けなく、それを指摘されたことでさらに悲しみが募った。
結局クレヴァーは「書き直しだ」とその作文を勝手に破り捨てられるその瞬間も、ただ立ち尽くしていることしかできなかった。
だから……
「…………」
「あ、居た居た」
「!?」
「クレヴァー・レイリ―だよな?話があるんだ、今良いか?」
クレヴァーにとって、その出会いは奇跡だった。
「き、きみ……は……」
「ん?あぁ、悪い。B組のライノスティード・ドルクだ。ライノで良い」
ある夕暮れ時、教室の入り口に立つ彼の名を、名乗られるまでもなくクレヴァーは知っていた、何度となく、彼の姿をモニター越しに見ていたのだ。
「都市、本戦……第4位……」
「ん?なんだ、IM見てたのか?詳しいな」
聞き返しに、彼はコクコクと何度も頷くしかできなかった。自分にとって雲の上の存在、どう手を伸ばしても届かないような存在が、目の前にいた。その衝撃と興奮が、普段の人見知りをする自分をどこか遠くにおいやっていた。
「お互い知ってるなら話もはえぇや。お前に少しアドバイスしてほしいことがあんだ、ちょっと付き合ってくれよ」
「ぼ、ぼぼ、ぼ、僕、ですか……!?」
「?そう言ってる、都合悪いか?」
「い、いぃ、い、いえ!!」
「よっし」
パチンと指を鳴らしてライノはクレヴァーの前の席の椅子に腰かける。背もたれに腕を乗せた彼は、足を組むと、ニヤリと笑った。
「じゃ、ちょいと付き合ってもらうぜ?」
────
ライノの話は自分の魔法の発動効率や使い方に関するアドバイスを求める内容だった。彼はどこから気が付いたのか、クレヴァーの魔法術式や魔法運用に対する知識量が、同学年でも群を抜いていることを察していたのだ。
その時間は、クレヴァーの人生の中でもひょっとするほど覚えがないほどに楽しい時間だった。
初め押し切られてしまったことで忘れていたライノに対する警戒心も、話している内に解きほぐされ、普段他人にそれを抱いていることを思い出したころにはもう完全に解けて消え去っていた。
何よりも、自分が夢の為に集め続けていた知識や考えが、彼の手によって夢の舞台まで押し上げられるのだと思うと、心の内から歓喜と期待が膨れ上がって止まらなかった。気が付いたころには、すっかり陽が落ちた校内に見回りの教師が来るまでどっぷりと話し込んでいた。
帰り道、ライノは少し呆れたように言った。
「それにしてもお前、まさかこんなによく話す奴だったなんてな。聞いた話じゃ、シャイで人見知りするタイプだって聞いてたのによ」
「ま、間違っては、居ないよ。でも、ライノは、話が上手いから……」
「乗せられたって?冗談、あんなマシンガンみたいに話してた癖してよ」
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