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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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まう可能性すらあるのだ。その危険性を考え始めると、全てのクレヴァーが本物に見えてくるから達が悪い。だんだんと、疑似的に本当に分身されているような気分になってくる。

「(落ち着け……)」
あくまでも本体は一体、攻撃してくるのも一体という前提で、相手の攻撃は成り立つ。指先さえ触れれば、それが幻影かそうで無いかは分かるのだ。とにかく、落ち着いて対処するしかない。だが守勢に回るだけでもらちが明かない。ので……

「ふっ!」
右側から回り込んで来ようとする一体に対してステップで走りこむ。間合いに入るぎりぎりのところで突きだされたスティングレイを寸でのところで躱して腕をつかみにかかる。が、これははずれ。その時、後方から飛び込んでくる気配がして首だけで振り返る、とすでに幻影の一体がこちらに右腕を突きだそうと迫っていた。明らかにクレヴァー・レイリ―の身体能力ではない。こちらから仕掛けたための焦りが見えたかと、クラナは予測する。が……ふと、ここまで完璧に幻影を操作してきたクレヴァーが、こんな単純な失敗を犯すことに、説明し難い違和感が奔った。殆ど反射的に、上半身が前方に向かってくの字に折りまがる、腕にスティングレイが掠った。

クラナ・ディリフス・タカマチ DAMAGE120 LIFE 5010

「ッ!」
今度ばかりは、クラナは自身の直感に本気で感謝せざるを得ない。正直なところ、ここで決めに来るのは想定外だったからだ。が……

「(実体なら!!)」
クラナは流れるような動作で、かがんだのと逆に向けて、まるでバランスを取るように左足を延ばして、踏み込み過ぎたクレヴァーの頭に上段回し蹴りを見舞う。が……その足は、見事にクレヴァーをすり抜けた。

「!?」
攻撃されたクレヴァーの幻影が消えるのに少し遅れて、クレヴァーの「腕だけ」が魔力と共に拡散、消滅する。

「(部分実態化って、そんなのアリかよ!?)」
幻影魔法に対して、魔力で編んだ実態を重ね掛けして分身する技術なら、クラナも知っている。しかしそれはかなり珍しい類の魔法で、よほど適性が無いとそうそう出来ないはずだ。それを、部分的に行って処理する演算の容量、使用する魔力の量を減らすなど、聞いたことが無い。
掠ったスティングレイの反動にあおられて、少し体制を崩す。そこを狙いすましたように、他の四体に一体増えて五体のクレヴァーが射撃型スティングレイの準備をしていた。

「っ、アル!」
[Absorb……]
[Dystopia]
[Error]
「くそっ!!」
予想はしていたが、やはりこのたいみんぐで来たエラーに思わずクラナは悪態をついて体制を無理やり防御に回す。飛来した実態を持たない四本と、実態を持つ一本の魔力棘は、待ってましたと言わんばかりにそこへ殺到した。

「……っく…
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