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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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らにバックステップで躱す。後方に三体、振り向くと同時に富んできた射撃型のスティングレイを、ローリングすることでぎりぎり回避する。
この試合が始まってから、正直相手の幻影操作の能力には驚かされっぱなしだ。複数体の幻影の動作をそれぞれ制御するためには、相当な
並列思考能力
(
マルチタスクスキル
)
が必要なはずだが、クレヴァーはそれらを試合開始からずっと見事にこなしている。このあたりは流石に秀才、と言った所か。
最後に、この相手は、自分の事を相当によく調べている。
こちらの動きや対応が、正直なところここまで殆ど予測され、対策された上で組まれた物であろうことは、クラナにもなんとなく察しがついている。加速はおろか、こちらの範囲攻撃の少なさを理解した上で、攪乱と自己の位置情報の隠匿を行い、こちらに試合をさせないつもりでいる。ともすれば、彼はこの試合が始まるよりも前に、試合を終わらせるつもりで来ているのだ。
「スティングレイ!」
「ッ!」
体制を崩したところを狙いすましたように、遠距離からクレヴァーの声がする。顔を向けた時には、すでに鋭い形をした魔法弾が顔面めがけて飛んできていた。
「アル!」
[Absorb]
それを、不可視の防御魔法で受け止めて吸収、即座に彼の周囲に6個の緑色の魔力弾が形成される。
「ディバイン・シューター……」
[Discharge]
「
射出
(
シュート
)
ッ!!」
号令と共に、魔力弾が全ての幻影に向かって一つずつ飛び出す。多少誘導能力は低いが、それでも
母親
(
なのは
)
を手本に学んできた高速誘導弾だ。そうたやすく避けさせるつもりはないし、もし回避の為に強引な動かし方をすれば、そのクレヴァーが本体でないと分かる。そう考えてすべてのクレヴァーを注意深く観察する、が……
[Dystopia]
[Uncontrollable]
「!?」
突然、クラナの発動した術式がアルの言葉と共に効力を失う。術式の制御による誘導を失った魔力弾は、あらぬ方向へと飛んでいき、その全弾が目標を逸れた。
『申し訳ありません相棒、術式の発動が無効化されました!』
「(やっぱり術式干渉……!)」
先程とは違い、術式の無効化を行ってきたクレヴァーに、クラナは若干歯噛みする。発動に時間をかける必要もないということだろうか……
或いは、一般的な魔法だったから干渉しやすかったのか?だとすると術式の難しさも関係があるのか……?
「(くそっ)」
思考を整理したいがしている暇がない。再び向かってくる幻影たちの相手をしなければならないからだ。いっそのこと、向かってくるものは全て幻影だと割り切って相手を捜索するかとも考えたが、それをしていざ本物が混じっていると取り返しがつかない。無防備な状態でもう一撃もらってしまったら、それで試合が終わってし
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