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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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も怠りはしなかったため、必然、より高い学力が求められる中等部、高等部の成績においても、常にトップの成績を取ることは容易だった。
しかし、中等部に入って以降、彼は唐突に、そして常に、学内で成績が後悔されない模試などのテストを除くテストの全てで、トップではなくトップより少し下の成績に甘んじるようになる。理由は単純、自らの学力が、他人の嫉妬を招く要因になるという事に早い段階で気が付いたからだ。
……いや、気が付いたというよりは、気が付かされたというほうが正しいのか。詳細は思い出したくもない為省くが、結果として、それに気が付かされた故に他人とかかわることを極端に避けるどころか、会話することすら困難になってしまったのだから、その結論は当然の帰結だった。
凡そ人と比べて、少々不幸な出来事もあったと思う、しかしそんな彼にも初等部の頃から夢はあった。
魔法戦技の世界に出場し、その「頭脳」を駆使して勝ち上がることだ。
今でこそ魔法戦主体の者も多くはなってきたが、男子の魔法戦技の世界は基本的に、その肉体スペックこそが最も重視される世界だった。筋肉と、汗と、流血、殴り合い、あるいは罵り合う事さえある、女子の部のような華はなく、ただ純粋な、男と男の戦いこそが全ての世界。そんな世界に他の男子たちと同じように、彼もまた「憧れ」を抱いていた。
クレヴァーは幼いころから、頭脳は成長しても体の方はめっきり成長しない人間だった。背は伸びず、体力は人並み以下、どうあがいても、スポーツに向いているといわれるような類の才能は、彼にはなかった。しかし「魔法戦技」の世界であるならば、話は別だ。
「魔法」はあらゆる事を可能にする万能の力だ。その万能と、自分が唯一他人に誇れる「頭脳」。それを何とか組み合わせて、魔法戦技の世界で勝ち上がることができれば、自分の中から抜け落ちてしまった「他人と向き合う勇気」も、何時か取り戻せるはずだ。少年は、そう信じた。
『無理に決まってんだろ、バカじゃねぇの?』
中等部の中盤、「夢」という題材で書いた作文をクラスメイトに奪い取られて嘲笑と共に最初に言われた言葉が、それだった。
『オマエみたいなチビで、頭ばっかの鈍間が、IM?』
『IM!?うっそだろお前、夢見過ぎだって』
『頭良いくせにんなこともわかんねーのお前』
彼らは相も変わらずいつものように、正面切って少年の夢を嘲り、罵り、汚した。
腹が立った、今すぐにこいつらに飛び掛かってその顔を汚辱に塗れさせてやりたいと思ったし、なにより幼いころから抱いていた夢を「無理だ」の一言で断じられた事がどこまでも悲しかった。何故なら、心のどこかにその夢を抱いた瞬間から「無理なのかもしれない」と冷めて見つめている自分もまた、クレヴァーの中には存在していたからだ。その弱点を、鋭い針で突きさされたように
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