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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十話 Limit speed「×1」
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トライセンタースタジアムの観客席の一角、二人の女性が、クラナ・ディリフスとクレヴァー・レイリ―の試合を観戦していた。高町なのはと、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンである。昨日の娘に引き続き、息子の試合を観戦しに来ていた二人は、さりとて、予想したよりも苦戦を強いられているように見える試合展開に、真剣な表情でリングを見つめていた。

「クラナ……」
「あの子、凄く幻術系の魔法の使い方が凄く上手い……」
祈るように手を組むフェイトの隣で、なのはが冷静にクレヴァーの能力を分析する。いざ試合が始まると、試合が始まる前、やや緊張気味だったなのはの方が、フェイトよりも落ち着きを見せていた。こういった模擬的な試合形式の者を見るとなると、教導官である彼女は慣れが先に出るらしい。

「あの歳で、かなり精度が高そうだよね……それにあれって……」
「うん。オプティックハイドとフェイクシルエット……他にも何か、別の魔法を重ねてる。多分、インスタント・イリュージョンかな」
「それって……」
「人間の呼吸、鼓動なんかの生体動作の音声をとか、気流の動きを疑似的にだけど幻術の周りに再現して。「気配」を再現できる魔法。本当に鋭い人には通じないけど、中途半端にそう言うのに敏い人には有効なの。それにしても……それを同時に、三つも制御できるなんてすごい……それにあの子、まだ余力があるみたい……」
心底感心したように言うなのはを、フェイトが慌てたようにぽかぽかと叩いた。

「も、もう!なのは!私達クラナの応援に来たんだよ?」
「あう、だ、大丈夫。まだクラナも落ち着いてる。巻き返せるよ」
「うん……クラナ、優勝出来るよね……?」
「……それは……まだ、分からないよフェイトちゃん。IMって、強い子は本当に強いから……」
「でも……」
正直なところ、クラナがどうしてIMへの参加を決めたのか、なのはとフェイトにはきちんとは分かっていなかった。本人はなにも言わなかったし、二人もヴィヴィオと共通の話題が出来るなら悪いことではないと、それだけの理由で流してきたからだ。
ただ……

「うん。私も、応援はしてあげたい……昔みたいに、クラナが世界一を目指すなら、アルテアさんがしたみたいに。私にできることで……」
「うん、今は、応援だねっ」
「うん!」
そうして、まるで示し合わせたように二人は叫ぶのだ。

「「頑張れー!クラナ―!」」


────

クレヴァー・レイリ―という少年の話をしよう。
彼は先天的に、天才的と言ってまったくそん色のない、そういう頭脳を持って生まれた少年だ。凡そテストと呼ばれる学力調査において、幼少の頃から初等部時代に至るまでの間に、ミッドチルダ内でも平均学力が高いStヒルデ魔法学院において、100以外の点数を取った記憶は無い。
努力
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