第二十三話 野心その十四
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「それを使う」
「では論破ですか」
「相手の教理の問題点を指摘する」
「そして論破する」
「そうしていかれますか」
「それがいい、一つ一つだ」
まさにというのだ。
「新教徒達に対してもだ」
「その教理のですね」
「問題点を指摘して」
「そして論破し」
「公に知らしめますか」
「その方がいい、そもそも異端として抑えるとだ」
法皇庁のその常套手段を行うと、とだ。太子はオズワルド公にも司教に対しても話した。極めて慎重な口調で。
「兵や異端審問を使うな」
「それもかなり」
「抑える対象にもよりますが」
「手間がかかります」
「それだけで財政にも負担をかけます」
「拷問等の予算は異端の者達に支払わせる」
異端審問ではそうなっている、そしてその余りが審問官達の報酬にもなる。これが為に異端審問は金儲けにもなっているのだ。
「しかし動かすだけでな」
「彼等をですね」
「それだけで」
「無駄に予算がかかる、労力もだ」
それ故にというのだ。
「むしろだ」
「教理を知るのですね」
「相手のそれを」
「そのうえで論破する」
「そうしていくべきですね」
「そうだ、無論こちらの教理も学びなおす」
彼等自身もというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで」
「こちらの問題点も学びなおし」
「そして論破する」
「そうしていくべきですか」
「抑えるよりも」
「それが智恵とは」
オズワルド公も司教も深く考える顔になった、そしてだった。
太子に対してだ、こう言った。
「わかった、ではな」
「はい、それでは」
「このことは」
「教理を学んでいきましょう」
「そのうえで進んでいきましょう」
「ではな、このことは妃にも話す」
こう言ってだった、そのうえでだった。
太子はこの国における旧教の精力回復も考えていた、その為にも手を打とうとしていた。それは剣を使うものでなかったがより強いものであった。
第二十三話 完
2016・9・5
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