第二十三話 野心その十三
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「昔帝国の南の半島の領地でそうした僧侶が出たが」
「あの絵画を焼いて回ったという」
オズワルド公が応えた、今度は。
「あの僧侶ですか」
「そうだ、あの頃はまだ新教はなかったが」
「そのはじまりでしたね」
「そう言っていい人物だった」
その僧侶こそはというのだ。
「清廉潔白で生真面目だったが」
「しかしですね」
「視野が狭かった」
「そしてそれは」
「新教徒達にも受け継がれている」
まさにそのままにというのだ。
「だからだ」
「彼等は」
「神は寛容であられる」
「あそこまでの禁欲は」
「望んでおられない」
これが彼の信仰の考えだ、世俗的と言えばそれまでだが厳格や不寛容は否定しているのだ。彼の政治的な考えと同じく。
「決してな」
「では、ですね」
「信仰は」
「旧教であるべきだ」
一つに戻った四国のそれもというのだ。
「絶対にな」
「ですね、では」
「新教徒達のこれ以上の伸張もですね」
「防ぎますか」
「その為の智恵をだ」
それもというのだ。
「備えておこう」
「旧教の勢力を挽回する」
「それも、ですか」
「用意されますか」
「これからは」
「どうも信仰はだ」
太子はその目を考えるものにさせて言った。
「抑え付けるとよくないな」
「かえって」
「そうすれば」
「異端を幾ら抑えてもだ」
法皇庁が常にしてきたし今もしていることだ、自分達の考えにそぐわない者には片っ端からそうしてきているのだ。
「異端は幾らでも出て来るしだ」
「異端を抑えても別の異端が」
「それが出て来ていますね」
「確かに」
「そうなってきていますね」
「そうだ、異端は抑えるよりもだ」
それよりもというのだ。
「智恵を使うべきかもな」
「ではその智恵は」
「どういったものでしょうか」
「教理だ」
これが太子が出す智恵だった。
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