576部分:第八十二話 嵐を前にしてその七
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第八十二話 嵐を前にしてその七
「間違いなくだ」
「封印が解かれるか」
「解かれるかではない」
「解かれるかではなく?」
「解かせてはならない」
また自分の考えを言ったアイオロスだった。
「そうなればすぐにアーレスの復活にもつながる」
「この世に再び降り立つ」
「我等には今アテナがおられない」
これが今の聖域の最大の弱点だった。聖域には黄金聖闘士達が揃っている。そして教皇もいる。だがそれでもアテナがいないのだ。
「それで四柱の神々に対することも」
「アーレスに対することもだな」
「できはしない」
アイオロスはそう見ているのだ。
「八大公と互角だ」
「そうだな。八大公とはだ」
「しかしここであらたな神々が加われば」
「もうそれだけで」
「状況が一変する」
所謂パワーバランスということである。アイオロスは聖域とトラキアの今の力関係を踏まえそのうえでそうなった場合の状況を考えて言っているのである。
そしてその答えがであった。
「トラキアにとって圧倒的に有利な状況となる」
「ではそれを防ぐ為にも」
「まずはあの四柱の神々が解放されるのを防ぐ」
何につけてもであった。
「それは何としてもだ」
「わかった」
サガもその言葉に頷いた。
「それでは。教皇にお話しよう」
「私と共にしてくれるか」
「今お話しても駄目か」
「止めておくべきだ」
それは、というのである。
「私が帰って来てからの方がいい」
「そうなのか」
「一人で上奏するよりもだ。それに」
「それに?」
「アイオリア達にも教えておきたい」
こんなことも言うのだった。
「四柱の神々のことをな」
「そういえばそうだったな」
サガも今の彼の言葉から気付いた。
「あの神々のことを知っているのは私達と」
「教皇だけだ」
「あとは老師だけか」
「しかし老師は動けぬ」
その人物についても述べられる。
「それではだ」
「やはり私達しかいないか」
「そうだ。だからこそだ」
「わかった」
そこまで聞いて納得するサガであった。
「では。その様にな」
「するとしよう」
「健闘を祈る」
サガの言葉が遠くなった。
「それではだ」
「ギリシアに戻り教皇に上申したらだ」
「どうした?」
「飲むか」
アイオロスの顔が不意に僅かだが綻んだ。
「久し振りにな」
「ふふふ、そうだな」
サガの声も彼の今の言葉に笑って乗ってきた。
「そういえば長い間御前とも飲んでいないな」
「若い連中は辰巳さんの店に入り浸っているみたいだがな」
「おい、若いというのはないぞ」
サガは笑ってその言葉には注意を入れた。
「私達にしろだ。若いのだぞ」
「ははは、それはそうだがな」
アイオロスも今の彼
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