いざ、王の間へ
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
あの後、トレーナーとは中々遭遇しなくなり、またピラミッドの構造上、上るごとに一階あたりの面積も少なくなったことで、上へあがるペースは予想よりも早くなっていた。7階から8階へは十歩ほど歩くだけで次の階段を見つけることが出来たほどだ。
浮遊するポケモンに逃げ場を奪うポケモン、氷漬けにしてくるポケモンや会った瞬間大爆発を仕掛けてくるなど多彩なポケモンがいたが、階段を上ったところのアドバイスを慎重に読めば対処できた。とはいえ8階分の迷路と階段を上って、体力のあるジェムといえどもさすがに疲れてきた。クチートやラティアスのメガシンカを使うペースも徐々に増えてきたのも理由の一つだろう。
「後一階……最後は何が出てくるのかな?」
石板をライトで照らす。文字のあるところをわざわざ探さなくても大きくなった明かりが全体を照らした。
「王の御前には、天地鳴動の力を持つ怪物こそが相応しい、か」
恐らくは、戦術の傾向云々よりも直接強いポケモン達が出てくると見ていいのだろう。バーチャルで再現できるのだろうかという疑問はあるが、ホウエンに限らず様々な伝説のポケモンを統べるジャックが協力しているのだ。そうだとしても不思議ではない。
「なら……ラティ、ルリ、クーで行くよ!」
クチートを手持ちに加え、歩き出す。これが今の自分のベストメンバーだ。そして出てきたのは――鋭く尖った黄金の羽が纏う紫電に猛禽の眼光。見慣れたはずのバーチャルはまるで本物のポケモンのようにジェムたちにプレッシャーを放つ。まごうことなき伝説のポケモン、サンダーだ。
「バーチャルポケモンも手加減なしってことね……ラティ、お願い!」
「ひゅうん!」
ボールからラティアスを出して、先制で竜の波動を放つ。終盤にもなってくると、どの技をあとどれくらい使えるかはポケモン自身がわかっている。故に、重要でない局面なら下手な指示は出さないほうがいい。
螺旋を描いて飛ぶ波動をサンダーが睨んだかと思うと、その巨体をきりもみ回転させて躱した。技の『見切り』を使ったのだとジェムは察する。避けて体を回転させたまま、サンダーはすかさず翼に溜めた紫電を大放出してきた。
「ラティ、『守る』!」
ラティアスの周りを念動力が包んで、飛来する電気のダメージを無効化する。だが部屋全体に放たれた電撃はこの階全体をしばらく光に包んだ。すかさず周りを確認する。他に進める道は今はないようだ。
「特性のプレッシャーに『見切り』、まともに相手にするのは難しそうね。なら『ミストボール』!」
ラティアスの口から虹色の球体が放たれ。サンダーの眼前で霧散する。突然閉ざされた視界にサンダーは後ろに下がった。バチバチと、放出した電気を再び纏う音がする。『充電』だ。
霧が
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ